目ディカル相談室2014

20141125日 グラフ旭川12月号 
「外傷と飛蚊症」

 

20141025日 グラフ旭川11月号 
「加齢黄斑変性」

 

2014926日 グラフ旭川10月号 
「網膜静脈分枝閉塞症黄斑浮腫」

 

2014825日 グラフ旭川9月号 
「連載100回」

 

2014725日 グラフ旭川8月号 
「外斜視の疑い」

 

2014625日 グラフ旭川7月号 
「緑色に見える」

 

2014526日 グラフ旭川6月号 
「2才8か月の外斜視」

 

2014425日 グラフ旭川5月号 
「視神経の異常」

 

2014325日 グラフ旭川4月号 
「内斜視のある方の複視」

 

2014225日 グラフ旭川3月号 
「黄斑浮腫」

 

2014125日 グラフ旭川2月号 
「飛蚊症の治療」

 

20131225日 グラフ旭川1月号 
「黄斑変性症の鑑別」

グラフ旭川12月号 「外傷と飛蚊症」

Q)はじめまして。十八歳の女です。

 昨日家族と寝ていたら、母の腕が私の目に当たってしまいました。

 目は閉じていたのですがぶつけた瞬間鈍い痛みが起き、ほんの少しの間それが続き、今は多分酷くなってないと思いたいのですが、飛蚊症なので悪化しないかと不安で、酷くなった気がして自分の事なのに本当の状態が分かりません。

 ちゃんと病院に行った方がいいのでしょうか?

 

A) ご連絡有難うございます。

 目をぶつけたということですので、念のために眼底検査を受けた方がよろしいかと思います。

 飛蚊症が増えたかどうかは、なかなかご自分では分からないかと思いますが、目の中に病気が起きていないか調べることが大切だと思います。まずは診察を受けて、何ともなければ安心出来ると思います。

 検査は、視力検査、眼圧検査のあとに、瞳を拡げて目の中の網膜の状態を詳しく調べる眼底検査が必要です。瞳を拡げる目薬を入れますと、4.5時間はまぶしくなってしまいますので、ご自分では運転をしないで、受診してください。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川11月号 「加齢黄斑変性」

Q)はじめまして。インターネットで眼科のメール相談をされていることを知りまして、ご相談をさせていただきたいと思い、メールさせていただきました。

 患者は、私の義理の父で76歳になるロシア人です。昨年9月より、急な視力低下がはじまり、ものがかすんでよく見えなくなりました。モスクワ在住ですが、こちらで病院に通い、加齢黄斑変性の診断を受け、過去6ヶ月で5回の注射による処置(Ranibizumabという薬だと思います)をしてもらいましたが、改善がみられず、現在、右の目では、視界の真ん中に黒い影ができて、悪化したようだとのことです。

 こちらのお医者様には、ロシアでの治療はこれ以上難しいと言われており、日本のお医者様にセカンドオピニオンをいただけないものか、と考えております。

 治療によって改善すれば、これ以上のことはありませんが、インターネットに掲載されている情報から得られたところでは、回復は見込めないが、現状悪化を防ぐあるいは遅らせることはできる、という感じなのだろうか、という印象を持っております。専門家の意見が伺えますと、幸いです。

 長文で恐縮でございます。お忙しい中、恐れ入りますが、アドバイスをいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

A) ご連絡有難うございます。

 加齢黄斑変性にてご心痛のこと拝察致します。Ranibizumabにて過去6ヶ月で5回の注射による治療を受けているとのことですので、診察をしているわけではありませんので、断言はできませんが、現時点で考えられる最良の治療ではないかと思います。日本でも現在はRanibizumabなどの抗VEGF抗体の硝子体注射が加齢黄斑変性の治療の主流になっています。

 加齢黄斑変性は、ものを見るために重要な働きをしている網膜の中心部分、黄斑と呼ばれる部位に、新生血管が生じることによって、腫れや出血を引き起こす病気です。黄斑部には、視神経細胞が密集していますので、腫れや出血によって、歪みや暗点、視力低下を自覚することになります。以前は、レーザー治療なども行われていましたが、現時点では抗VEGF抗体の硝子体注射が第一選択とされています。

 抗VEGF抗体の硝子体注射によって、視力回復が得られる場合もありますが、病勢によっては、悪化を食い止めるのが精一杯ということもあります。左の目の経過観察も重要になってきますので、定期検診の継続をお願いします。どうぞお大事になさって下さい。


グラフ旭川10月号 「網膜静脈分枝閉塞症黄斑浮腫」

Q)はじめまして、静岡県浜松市在住のものです。

 64才、男性。眼底出血して3か月経過。現在は出血なし。

 網膜の腫れに伴う視野のかすみ、ゆがみ、視力低下(1.2から徐々に0.3程度にまで)。この間の治療は内服薬のみです。

 レーザー治療等は有効でしょうか。医師からは特に今後の治療方針等は伺っておりません。このまま内服薬だけでの対応でよろしいかどうか、心配です。アドバイスいただけましたら幸いです。

病名は「左目網膜静脈分枝閉塞症」と診断されております。

出血はないが、吸収もなしとの説明。

 

A) ご連絡有難うございます。

 網膜静脈分枝閉塞症に伴う黄斑浮腫ということだと思います。黄斑部は、網膜の中心部分で視力を司る部分です。網膜静脈分枝閉塞症には黄斑浮腫を伴う場合があり、その際に視野のかすみ、ゆがみ、視力低下という症状を来します。

 以前は、レーザー治療が黄斑浮腫に対する唯一の治療でしたが、現在は、薬物の硝子体内注射という治療が効果的と考えられています。全ての眼科で、薬物の硝子体内注射治療を行っているわけではありませんので、まずは、主治医の先生に今後の方針について相談してみるのがよろしいのではないかと思います。

 主治医の先生が薬物の硝子体内注射治療を行っていない時には、実施出来る施設への紹介をしてくれるのではないかと思います。主治医の先生と良く相談なさってください。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川9月号 「連載100回」

 平成186月号から「目ディカル相談室 目に優しいお話」のコーナーを担当させていただき、今回で丁度100回目を迎えることができました。グラフ旭川編集室の皆さま、そしてグラフ旭川愛読者の皆さまのおかげです。この場をお借りして感謝申し上げます。

 折角の連載100回の記念ですので、今までの「目ディカル相談室」を振り返ってみたいと思います。第1回は、連載開始のご挨拶をさせていただきました。第16回と73回は「目の健康講座」、89回は「緑内障無料検診」の告知をしましたので、95の質問と回答を掲載していただきました。

 

小児眼科:「3歳児検診」「高校生の弱視」「1歳の内斜視」「ワニの涙現象」「5ヵ月の内斜視」「間歇性外斜視」「下眼瞼睫毛内反」「先天鼻涙管閉塞手術の時期」「7歳の遠視」「中学1年片目の視力低下」「眼振の眼鏡あわせ」「調節性内斜視の複視」「子どもの視神経異常」「28ヵ月の斜視」「学校検診で外斜視疑い」

近視:「近視は治りますか?」「近視の進行」「近視の眼鏡のかけはずし」「レーシック」「近視の進行」「部屋の照明と近視の進行」「レーシック長期安全性」

白内障:「日帰り手術」「緑内障術後の白内障手術」「角膜内皮細胞減少の白内障手術」「先天白内障37歳」「アトピー白内障40歳」「82歳白内障手術」「虚血性視神経症白内障手術」

緑内障:「緑内障検査」「視野欠損」「ホームトノメーター」「転院希望」「視神経乳頭陥凹」「点眼治療」「点眼の副作用」「緑内障の疑い」「高眼圧症」

眼底疾患:「眼底出血」「網膜静脈分枝閉塞症」「ぶどう膜炎」「傍中心暗点」「原田病」「小視症」「黄斑前膜の手術」「飛蚊症」「歪み」「糖尿病網膜症」「バックル除去手術の可否」「外傷性網膜裂孔」「交通外傷後の飛蚊症」「中心暗点」「イールズ病後の眼精疲労」「網膜裂孔術後閃輝暗点」「網膜中心静脈閉塞症」「網膜剥離の術式」「飛蚊症の運動」「黄斑変性の鑑別」「飛蚊症のレーザー治療」「黄斑浮腫」

コンタクトレンズ:「遠視のCL」「サッカーのCL」「55CL再開」「CLの破片」「ハードレンズ紛失更新希望」「中1サッカーのCL」「強度近視のハードレンズ」「ドライアイのCL」「初めてのハードレンズ希望」「ハードとソフトの併用」「スポーツコンタクト」

外眼部疾患:「霰粒腫」「結膜弛緩」「アレルギーによる結膜浮腫」「瞼裂斑」「授乳中の霰粒腫手術」「プール後の洗眼 」「重瞼術後の出血」「ドライアイ」「アデノウイルス結膜炎」「75歳鼻涙管閉塞」「眉毛部外傷後の眼瞼下垂」「角膜穿孔後失明」

神経眼科:「片頭痛」「甲状腺眼症」「目の筋力」「閃輝暗点」「蓄膿症と眼精疲労」「外傷後の斜視」「31歳間歇性外斜視」「群発頭痛」「眼瞼痙攣」「複視」「脳出血後遺症」「緑色に見える」

 過去の記事は、ホームページに掲載していますので、ご興味のある方はご覧下さい。

また連載200回に向けて、コツコツ精進してまいりますので、ご質問のある方は是非送って下さいね。


グラフ旭川8月号 「外斜視の疑い」

Q)はじめまして。私は、小学校一年生の娘をもつ母です。診察についての質問ですが、よろしくお願いいたします。

 小学校一年生の娘が、学校の健診で「外斜視の疑い」と診断されました。

 どの病院に行けば、斜視を治療してもらえるのかわかりません。斜視の治療については、専門的に見てもらえるのでしょうか?

 どこの病院に行けば良いのかわからず困っています。よろしくお願いいたします。

 

A) ご連絡有難うございます。小学校1年生の娘さんが外斜視の疑いとのことですね。

 外斜視とは、物をみる時に片方の目の視線が外側にずれている状態のことを言います。常に片方の目が外側にずれている恒常性外斜視と、疲れた時、眠たい時、ボーッとしている時などにだけ、片方の目が外側にずれる間歇性外斜視があります。恒常性外斜視の場合は、常に片方の目で物を見ていることになりますので、遠近感や立体感が悪くなっている場合がありますので、治療を要しますが、この場合は、ご家族の方が気がつくことが多いと思います。

 学校検診では、限られた時間の中で検査をしますので、まずは眼科の精密検査が必要になると思います。

 視力検査、屈折検査、眼位検査、眼球運動検査、立体視検査などを行い、目の中に異常がないかも調べる必要がありますので、目薬を入れて眼底検査になると思います。

 これらの検査は、どこの眼科でも受けることが出来ますので、まずはご自宅のお近くの眼科を受診されるのが、よろしいのではないかと思います。眼科学校医の先生の眼科にかかるのも、良いと思います。

 まずは、お近くの眼科を受診して、外斜視があるのかどうか、あるとすれば治療が必要なのかどうか、の判断をしてもらうのが、よろしいのではないかと思います。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川7月号 「緑色に見える」

Q)はじめまして。今回、田舎にいる母(73歳)の件で、ご相談申し上げたいことがあり、メールを差し上げました。もしよろしかったら、先生のご意見をお聞かせいただけませんでしょうか?23日前から、昼間ウトウトした後に目覚めた際、視界が一面の緑色になり、驚いて、目をパチパチしたり、ギュッとつぶったりすると、元に戻る・・・というようなことがある、と申しております。丁度、緑色一色の画用紙を、目の前に置かれた時のようだと申しておりました。ただ、この症状は、昼間ウトウトした後だけで、朝起きた時や、活動している間は、起こらないそうです。驚いて、近所の眼科で診てもらったところ、眼底・視力ともに異状なしと、言われたそうですが・・・

 母は数年前から緑内障と診断され、トラバタンズを点眼しております。また、白内障も出て来ていて、白い壁や部屋の電灯を見るとまぶしいと申します。何か、視神経に問題でもあるのでしょうか?このままほっておいても大丈夫なものでしょうか?脳神経外科など、他科で診てもらわなくてもいいのでしょうか?(トラバタンズ以外に、気管支喘息のため、シングレア(錠剤)とアドエア(吸入薬)、高血圧のため、アダラートCR20を毎日服用しています。また、3年前には、肺がんの摘出手術を受け、術後2年間はUFT(抗がん剤)を服用しておりましたが、現在は飲んでおりません。少し前から、エーザイの「贅沢ポリフェノール」というサプリメントを飲み始めております。これは、ビタミンE含有加工食品で、一日分でビタミンEが100ミリグラム配合されているものです)

 お手数おかけして恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

A)ご連絡いただきまして有難うございます。

 緑色に見える症状があるとのことですが、昼間ウトウトした後だけで、朝起きた時や、活動している間は起こらないということからは、視神経などの病気ではないと思います。

 また、近所の眼科で診てもらったところ、眼底・視力ともに異状なしと言われたとのことですので、検査所見上にも問題ないものと考えられます。

 診察をしておりませんので、確定的なことは申し上げられませんが、お話だけからでは、心配ないもののように思います。しかし、ご本人に症状が続いており、ご本人が心配されているようでしたら脳神経外科などの診察をお勧め頂いた方が、安心が得られるのではないかと思います。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川6月号 「2才8か月の外斜視」

(Q)はじめまして。ネットで知り、初めてメールさせて頂きます。28ヵ月の子供の事で相談です。物心ついた時からテレビにくっついて見ていて、離してもすぐ近づき、遠くの物を見るときは目を細めます。私自身まだ見たことがないのですが、保育園では何度か寄り目にしてその後両黒目を外側に離すといった行動をするそうです。名前を呼ぶと治るらしいのですが、小児科の先生に相談しても地元の眼科医に相談しても、子供だからよくある事、と言われて終わります。

 つい先日地元の眼科へ行きました。その時は覗いたら気球の見える検査はできたのですが、絵の書いてある紙を見て、自分で答える検査はできず(言葉が遅いのもあり)、目は悪いみたいでメガネが必要だけど、自分で答える視力検査ができないので、3歳にならないと難しいと言われました(先生を見るなり大泣きもしたので)。ちなみに私も目が左右相当悪くメガネかけています。なので、遺伝かな?と言われました。

 このまま3歳まで様子を見るべきか、それとも早急に何らかの検査を受けるべきか、先生のお考えをお聞きしたいと思いました。3歳児健診は今年の9月頃にあると思います。とても長々となってしまい大変申し訳ありません。先生のお時間あるときの返信で構いませんので、ご回答お待ちしております。

 

A)ご連絡いただきまして有難うございます。

 2歳8ヵ月とのことですが、視力が悪いとご心配とのことですので、検査を受けにきて頂きたいと思います。

 一度検査を受けて、上手くできなかったとのことですが、3歳にならないと、検査ができない場合が多いので、そのこと自体は心配ないと思います。

 お子さんの場合、その日の体調、ご機嫌などで上手く出来ることもありますので、一度、検査に来てみて頂きたいと思います。検査が出来なかったとしても、何度か、検査に通ってもらううちに、病院の雰囲気になれて、検査が出来るようになることもあります。

 当クリニックは予約の方を優先に診察しています。小さいお子さんの場合、落ち着いた雰囲気で検査したほうが良いと思います。御都合の良い日がありましたら、予約をいれてから来て頂きたいと思います。メールでも予約をおとりできますので、御都合の良い日をお知らせください。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川5月号 「視神経の異常」

Q)はじめまして。関東に住んでいるものです。

 実は、先日子供が公園で遊んでいて友達の投げた石が跳ね返り娘の目に直撃しました。すぐに市立病院へ行き検査をしてもらいましたが怪我では異常はありませんでした。しかし、医師に今回の怪我では関係なく眼底に異常がみられたと言われました。診断の結果、眼底から脳につながっている神経が弱いとの事でした。すぐにとは言わないけれど一応東京の大きい病院での精密検査をすすめられました。こんな症例はないとも言われ困惑しております。このような事はあるのでしょうか?

 思い当たることは、10か月の頃に鉄のパイプベットが頭に落ちて、たんこぶがボコボコ出て大泣きした事がありました。また、1歳の頃にも頭から落ちて、瀬戸物のガラスの電気を割るなど(傷はないけど相当に硬い置物)、また、右目の上のおでこを部屋の角にすごい勢いでぶつけて、内出血の大きいたんこぶができたこともありました。

 今になりこの様な後遺症が脳から出ているのと思うと、取り返しのつかない事なのかと思い本当に悩んでします。よろしくお願いします。

 

A)ご連絡有難うございます。

 「眼底から脳につながっている神経が弱い」とのことですが、このお話だけでは、どのような状況なのかわかりません。可能性としては、先天的な視神経乳頭の形態異常があげられます。

 少なくとも、10ヵ月のころの怪我や、1歳のころの怪我が原因でなったものではないと思います。

 東京の大きい病院での精密検査を勧められたとのことですから、思い悩まずに、精密検査を受けにいってみてください。そこで、疑問に思ったことを、お聞きになってください。メール相談では、お答えに限界があることをご理解ください。納得できるお答えになっていないと思います。申し訳ございません。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川4月号  「内斜視のある方の複視」

Q)はじめまして。気になる症状がありまして、メールをさせていただきました。高校3年女性です。

右目:視力(矯正)0.15 弱視 調節性内斜視 乱視

左目:視力(矯正)1.2 (裸眼)0.7 近視

日常は眼鏡なし

 4ヵ月前に3日間位両目に痛みがあり、その後から暗い所では光が上に伸びて見えることがあり(例えて言うと、テレビの電源のランプの光)、テレビで背景が暗い画面に映る明るい文字は上にもう一つ見えることがありました。最初は時々だったのでしたが、今はこの条件が揃うと症状が出ます。両目で見ている感覚はないので左目だけです。眼鏡をかけても変わりません。たまに、突発性の軽い頭痛や目の痛みはありますが、すぐに治まります。最近は光だけでなく、色が黒めのTシャツにプリントされている明るい文字や柄が同じように見えることがあります。ネットや携帯、紙に書いてある文字は普通に見えます。

 先日、病院に行き主治医に伝え、眼底検査などをしたのですが異常なし。

 日常生活は今のところ何の不自由はないのですが、頼りの左目なので何かあると不安なので相談させていただきました。読みにくいですが、よろしくお願いします。

 

A)ご連絡有難うございます。

 距離の離れたものを見ると上下に物が2つに見えて近くのものを見るときは何ともないとのことですね。

 ものが2つに見えることを複視といいますが、片方だけの目でみても2つにみえることを単眼性複視、両方の目で見ると2つにみえることを両眼性複視といいます。

 両目で見ている感覚はないとのことですが、常に左目だけで見ている訳ではないのではないかと思います。眼底検査などで、異常はなかったとのことですので、可能性としては、遠見時(遠くを見る時)に、少し上斜視があるのではないかと思います。主治医の先生に眼位検査(斜視の検査)をしていただいたら如何でしょうか。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川3月号  「黄斑浮腫」

Q)私は今、ベトナムに住んでいる30歳の女です。

 2週間前にベトナムのローカル病院で検査しました。ストレスと判断されましたが、自分なりに検査結果の写真でインターネットを見たのですが、どうも黄斑浮腫じゃないのかと思います。

 そのローカル病院で、ビタミン剤とストレス緩和剤と人工涙液の目薬を処方されました。最初は見え方がぼやけるだけでしたが、今は部分的(視界の2/3)に見えないです。処方の薬を飲んで様子見て、1ヶ月後にきて下さいと言われました。

 黄斑浮腫は、自然に治る病気でしょうか。

 自然に治る病気なら良いですが、何も処置しなくて1ヶ月ビタミンやらの処方薬で治るのか心配です。

 最近では、痛みがあり、もう片方の目も少し見え方に異常がでています。

 すみませんが、よろしくお願いします。

 

A) ご連絡有難うございます。

 30才でストレスと判断されたというお話からは、中心性網脈絡膜症ではないかと考えました。

 黄斑浮腫は糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎などに続発して起きることがありますが、他の病気がなく、黄斑浮腫が生じることはあまり多くありません。

 しかし、部分的(視界の2/3)に見えないということや、痛みがあり、もう片方の目も少し見え方に異常がでているということは、気になる症状ですので、1ヵ月の予約を待たずに、再検査を受けて、悪くなっていないことを確認して頂きたいと思います。

 メール相談では、診察をしているわけではありませんので、断定的なもの言いはなかなかできません。今一度、検査、診察を受けて、疑問点は質問し、解消して頂きたいと思います。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川2月号  「飛蚊症の治療」

Q)私は60歳・男性です。 

 5年程前から飛蚊症になりましたが、症状は比較的軽かったので特に気にはなりませんでした。

 しかし、先日急に左目に今度は大きな模様が現れました。

 近くの眼科で診てもらったところ、「病的なものではないので、治療は必要ありません。だんだん慣れてきます」と言われましたが、毎日鬱陶しくて仕方がありません。 

 何か症状を軽減できるような処置はないものでしょうか? 

 ネットで調べましたところ、飛蚊症のレーザー治療を行っているところがあり、受けてよろしいものでしょうか?本当に困っています。 

 よろしくお願いいたします。

 

A) ご連絡有難うございます。飛蚊症で悩まれているとのこと、ご心痛をお察しします。

 飛蚊症を近くの眼科で診察を受け、病的なものではないとのことですので、まずは一安心かと思われます。

 しかしながら、急激に生じた飛蚊症や、悪化した飛蚊症の場合には、眼球の中にある硝子体の加齢性変化にもとなう後部硝子体剥離が生じていることが考えられます。後部硝子体剥離が生じた際には、網膜と硝子体に癒着部分がある場合、飛蚊症を自覚した後に、網膜裂孔を発症することがあります。まずは、しばらくは飛蚊症の症状に悪化がないか経過観察をし、悪化した場合には、眼科を受診していただきたいと思います。

 飛蚊症のレーザー治療に関しましては、保険適応されているものではなく、その安全性がどの程度保証されているものかわかりません。自分や家族に置き換えて考えてみますと、私は受けようとは思いません。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川1月号  「黄斑変性症の鑑別」

Q)今野先生はじめまして。眼のことで悩んでいたところ、当院のサイトを見つけたのでメールさせていただきました。

 要件なのですが、私の母(53歳)が9月ごろから視界にゆがみを感じるようになり、最近になって中心部が暗くなるようになったので眼科を受診すると、加齢性黄斑変性か中心性漿液性脈絡膜症のどちらかではないかと診断されました。

 本当にどちらかを知りたいのであれば、大きい病院などの特定の病院を受診しないといけないと言われたそうなのですが、本当に大学病院などでないと診断できないのでしょうか。

 医院では無理なのか教えてほしいです。

 本当に大変ご迷惑をおかけしますが、ご返答よろしくお願いいたします。

 

A) ご連絡有難うございます。お母様の歪視症、中心暗点とのこと、ご心痛のこととお察し致します。

 視界に歪みを感じることを歪視症、中心部が暗く見えることを、中心暗点といいます。神経の膜である網膜の中心部分、黄斑と呼ばれる部位に病気が起きている時に生じる可能性のある症状です。

 加齢性黄斑変性か中心性漿液性脈絡膜症のどちらかではないかと診断されたとのことですが、この2つが代表的な病気です。両者とも、黄斑部に水が溜まったようになることがありますので、通常の診察では、鑑別出来ない場合があります。

 中心性漿液性脈絡膜症は、自然に治って来ることの多い病気ですが、加齢性黄斑変性は、悪化してくる場合もあります。

 その鑑別のために、腕の血管から色素を注射して、目の奥の血管の状態を把握する目的で蛍光造影眼底検査が必要になります。当クリニックでも、蛍光造影眼底検査は行っていませんので、お母様と同様の症状がある方の場合は、大学病院や、総合病院の眼科に紹介させて頂いております。

 症状がなかなか改善しない場合には、やはり精密検査(蛍光造影眼底検査)が必要ではないかと考えます。どうぞ参考になさってください