コンタクトレンズ診療

コンタクトレンズも目に優しい素材、高品質のレンズをリーズナブルな価格で提案します。メニコン・メルスプランを導入します。信頼できるメーカーのレンズを取り扱います。


コンタクトレンズ2004.3.1発行 優しい眼科クリニック第4号から

 

今回は、コンタクトレンズ(CL)についてお話させていただこうと思います。春は、卒業、進級、入学また就職のシーズンです。そういった環境の変化を機会に、CLを始めようと考えている方もいらっしゃると思います。

 

私も大学2年の時から、CLを使用しておりますので、かれこれ20年のベテランです。ちなみに、眼鏡は小学校5年生の時からかけていますので、こちらは更に30年のベテランということになります。小学校の視力検査で眼科に行くように言われ、気楽に行ってみたら、「何故こんなになるまで放っておいたんだ」と眼科医に叱られ、その帰りには、眼鏡をかけて悲しい気分だった、というのが私の小学校5年生の春の体験です。お子さんの学校検診と近視、仮性近視については、優しい眼科通信第6号(2004年5月1日発行予定)で、お話させていただく予定です。そんな訳で、5年生から眼鏡生活をしていますので、眼鏡の便利さ、眼鏡の不自由さは十分承知しているつもりです。その後、身長は大して伸びませんでしたが、眼鏡は毎年のように合わなくなり、年々分厚くなっていきました。大学に入学した頃には立派な強度近視になっていて、眼鏡をかけると目が小さくなってしまいます。鏡で自分の素顔を見たこともなく(ものすごく近づかないと見えませんので)、床屋さんでも最後に眼鏡をかけるまで、どうなっているのかも分らず、銭湯に行くと何も見えず(眼鏡をかけて入るようにしていました)、冬にバスに乗ると、しばらく曇って何も見えず、などなど不自由なことがありました。そこで、CLをと考えた訳ですが、当時のCLは高価で、塾の講師をして費用を捻出しました。最初はソフトコンタクトレンズ(SCL)を使いましたが、眼科の講議を受けてみると、酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGPCL)の方が、角膜に害がないということが分りましたので、大学6年生の春にRGPCLに変更しました。3、4日間は慣れるまで、涙が出て、悲しくないのに泣いて暮らしていました。

 

その後、眼科医となり今度は自分がCLを処方する側にまわりました。私のCLに対する考え方は「CLはあくまでも目にとっては異物であり、きちんと使用しなければ、目に害を及ぼす危険性のあるもの」ですが、「きちんと使用すれば安全であり、視力の悪い人にとって非常に便利でありがたいもの」というものです。CLを使用する方(既に使用している方にも)に強調したいことは、「CLは眼鏡と併用しましょう」ということです。角膜に必要なものは、酸素です。角膜は涙から酸素という栄養を受けていますので、正しいフィッティングのCLで、酸素透過性の優れたレンズを、正しい使用法で装用しなければなりません。

角膜内皮細胞

 

また不適切なCLを長期に使用した場合には、角膜障害を起こしてしまうことがわかっています。角膜内皮細胞は角膜の透明性を保つために重要な働きをしていますが、加齢とともに減少し、恐ろしいことにCLの誤った使用によっても減少し、一度減少した細胞は再生しないということがわかっています。透明な角膜を一生守るためには、正しいCLの知識が必要だと考えています。

 

上は72歳男性の白内障手術前の角膜内皮細胞です。72歳ですが、角膜内皮細胞数は2769で、異常ありません。

 

一方下は、SCL30年間使用している56歳女性の角膜内皮細胞です。一つ一つの細胞が大きくなっていて、角膜内皮細胞数も981にまで減少しています。これ以上細胞が減少しますと、角膜は透明でいられなくなる怖れがあります。

当クリニックでは、CLご希望の方、今までCLを使ってらした方には、角膜内皮細胞検査を行います。また、ご自身の角膜の細隙灯顕微鏡画像もお見せしますので、ご一緒にどのようなCLが目に適しているのかご相談させていただきます。

 

メニコンのメルスプラン

酸素透過性の優れたCLを毎日消毒しても、段々と汚れてしまうことは避けられません。汚れたCLの酸素透過性は低下してしまいますので、使っているうちにCLの性能は劣化しているわけです。当クリニックでは高性能のCLをいい状態で使い続けるためのシステム「メニコン メルスプラン」をお勧めします。「メニコン メルスプラン」について、詳しいパンフレットがありますので、スタッフにお尋ね下さい。

ステレオマイクロスコープ


2004年2月初旬当クリニックでは、ステレオマイクロスコープを導入しました。これは、皆さんが使用しているCLの汚れ、傷を顕微鏡で確認するためのものです。今、お使いのCLが寿命か気になる方は、どうぞスタッフにお尋ね下さい。当クリニックではCLが目の健康を損ねていないか、注意を払って診察させていただきます。


コンタクトレンズの定期検査 <2004.8.2発行 優しい眼科クリニック第9号から>

 

コンタクトレンズのお話の2回目ですが、今回は定期検査の重要性について、お話させていただきます。

 

調子良いんだから、検査なんて必要ないっしょ

定期検査を受けていない方は、きっとこう思っていることと想像します。調子が良ければ問題ないのなら、良いのですが、調子が良くても問題のあることが、あるんです。特にソフトコンタクトレンズ(SCL)をお使いの方は、注意が必要なんです。そこで、CL の種類について、ご説明します。

 

CL の種類とその特徴

1.ソフトコンタクトレンズ

1)1日使い捨てレンズ

1日使ったら捨ててしまいますので、レンズに汚れがたまる心配がありません。また、洗浄・消毒などのケアが不要です。アレルギー性結膜炎にも対応しやすいという利点があります。ただし、毎日使う場合は、コスト高になってしまいます。

 

2)定期交換型使い捨てレンズ

1週間、2週間、1ヵ月で交換するタイプのレンズです。このうち1週間型は1週間、目につけたままのタイプのレンズで、トラブルが多く、お勧めしていません。定期交換型は洗浄・消毒などのケアが容易で、1日使い捨てよりもコスト面で有利です。アレルギー性結膜炎の強い方は使用できません。

 

3)通常のSCL(コンベンショナルレンズ)

洗浄・消毒などのケアが面倒です。どうしても使っているうちに汚れてしまいますので、お勧めしていません。

 

2.酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGPCL

安全性には、最も優れています。ただし、慣れるまでに時間がかかり、異物感のため装用できない方もいらっしゃいます。近視度数の強い方、1日の装用時間の長い方に適しています。

 

角膜の栄養は涙からの酸素です。

私たちの身体に必要なものの一つに酸素があります。全身の臓器は、血液によって運ばれる酸素を消費しています。角膜は物を見るためのレンズとして働いていますので、透明でなければなりません。そのために、角膜には血管がなく、角膜の栄養の酸素は涙から補給されているのです。

 

栄養失調は病気のもとです。

栄養状態が悪いと病気になったり、感染症にかかったりするように、角膜にも酸素不足が起こると、色々な障害が生じます。角膜の表面の細胞(上皮細胞)は、角膜の周辺部の幹細胞で作られ、細胞分裂を繰り返し、常に新しい細胞が生まれています。酸素不足が起こりますと、細胞分裂能が低下し、角膜上皮細胞に

障害が起こることになります。これが、いわゆる角膜の傷です。CLをしている方に、「角膜に傷がありますね」と言うと、「こすったからかなあ?」「ゴミが入ったのかなあ」とおっしゃいますが、実は酸素不足による傷が最も多いと思います。そして、この角膜の傷は、SCLをしている方では、ほとんど自覚症状がありません。RGPCLの場合は角膜に傷がつきますと、ゴロゴロ感(異物感)や痛みという自覚症状を伴いますので、大事に至ることが少ないと思います。大事とは、角膜にばい菌がつくことです。

 

角膜上皮は角膜をばい菌から守るバリヤーの働きもしています。目の表面はばい菌の繁殖し易い場所ですので、感染する危険も多いのです。角膜感染症は、最悪の場合、失明にもつながるあなどれない疾患です。自覚症状がなくても、定期検査が必要なのです。また、SCLの場合はRGPCLに比べてサイズが大きく、角膜全体を覆ってしまいますので、角膜に涙からの酸素が届きにくく、またレンズと角膜の間の涙の交換も少ないため、長時間装用やレンズが汚れている場合には、酸素不足に陥りやすい訳です。

慢性的な角膜の酸素不足を示すサインは、角膜周辺部の新生血管の侵入(角膜パンヌス)です。本来血管のない組織の角膜が、酸素不足に陥り苦しくなりますと、角膜周辺から中央に向かって血管が伸びてきます。診察室ではモニターで示しながら、「白目の血管が黒目に入って来てますよ」と注意を促していますが、もちろん、これも自覚症状がありません。

 

さらに酸素不足が長期間に及びますと、角膜の内側の細胞である内皮細胞に障害が出てきます。内皮細胞は角膜の水分調節を司っており、内皮細胞の働きのおかげで、角膜は透明性を維持することができるのです。内皮細胞は細胞分裂をせず、障害を受けると細胞の数が減り、周囲の細胞と合わさって大きくなります。つまり内皮細胞に大きい細胞が見られるようになりますと、角膜の慢性的な酸素不足は深刻な状態になっていると判断できます。しかし、これにも自覚症状はありません。現在の医学では、失われた内皮細胞を取り戻すことはできませんので、将来角膜が濁ってくる危険性があるのです。

 

CLから角膜を守るために

正しいフィッティングのCLで、酸素透過性の優れたレンズを、正しい使用法で装用しなければなりません。SCLの場合は、1日12時間をメドに装用をお勧めします。洗浄・消毒を毎日行い、古くなり劣化したレンズは、取り替えをお勧めします。自覚症状がなくても、角膜に問題が起きていないか、自分の使い方が目に負担になっていないかを、検診で確認して下さい。


コンタクトレンズ ハードかソフトか2005.4.1発行 優しい眼科クリニック第17から

 

新年度からコンタクトレンズにして、雰囲気をかえてみましょう、と考えている方も多いと思います。当クリニックでは、白内障日帰り手術に積極的に取り組んでいますが、その一方でコンタクトレンズ(CL)診療にも力を入れています。

 

CLに対する私の考え方は、「CLはあくまでも目にとっては異物であり、きちんと使用しなければ目に害を及ぼす危険性のあるもの」ですが、「きちんと使用すれば安全であり、視力の悪い人にとって非常に便利でありがたいもの」というものです。私自身も強度近視でCLなしでは人前には出たくないですし、CLの恩恵にあずかっている者の一人ですが、そのありがたいCLでトラブルを起こす方が非常に多いので、正しく使用していないために危険にさらされている方には、ついつい辛口になってしまう傾向があります。

 

眼鏡の かわり

CLを使用する方に(既に使用している方にも)強調したいことは、「眼鏡と併用しましょう」ということです。

角膜に必要なものは、酸素です。角膜は涙から酸素という栄養を受けていますので、正しいフィッティングで、酸素透過性の優れたレンズを、正しい使用法で装用しなければなりません。角膜に一番よいのはCLをしていない状態です、もちろん。起きている時間帯に眼鏡をかけて、CLをしていない状態の時間を持つようにしましょう。お勧めは、お家に帰ったら眼鏡にすることです。

CLは 眼鏡の代わりに使えるものですが、

    眼鏡の替わりに使うものではありません。

 

コンタクトレンズの始まり:豆知識

世界で最初にCLを発明したのはレオナルド・ダ・ビンチと言われています。1508年に大きなガラスボウルに水を入れて、水面に顔をつけてボウルの中の水を通して外を見る実験をしたとされています。

一方、日本でのCLの始まりは、日本医史学会評議員 奥沢康正先生によりますと、「史料から確認できないが、豊臣の残党狩りを逃れるために、魚のうろこを角膜上に載せて盲人を装ったのがはじめとされる」とのことです。眼鏡とは違う方法で良く見えるようにしようという発想と、目の中にモノを入れて見えなくしてしまうという全く逆の発想。モノの始まりって興味深いですね。納豆を最初に食べた人って勇気がある、って話がありますが、最初にCLを入れた人も勇気ありますよね。

酸素透過性ハードコンタクトレンズ


いわゆるハードレンズをしている方の写真です。


ハードレンズと聞いただけで『痛いんでしょ』と毛嫌いする方が多いのも事実ですが、安全性から考えますと、一番のお勧めですので、私も愛用しております。ソフトレンズに比べて、つけているという感じは常に残ります。かつては、ソフトレンズに比べて手入れが簡単、乱視の矯正にはハードレンズ、という利点がありましたが、今ではソフトレンズも煮沸消毒やタンパク除去を必要としないタイプのものもありますし、乱視が矯正できるトーリックのソフトレンズも出ていますので、どうしても敬遠される傾向にあります。私は、近視の度数の強い人、装用時間の長い人には、ハードレンズを勧めています。

ソフトコンタクトレンズ


ソフトレンズをしている方の写真です。


装用感の良いことがソフトレンズの利点です。ただし、角膜全体をすっぽりと覆ってしまいますので、どうしても角膜の栄養(酸素)は不足しがちです。白目の血管が黒目に入って来ている、角膜内皮細胞に大きい細胞が出現している、と指摘された方は、今までの使い方では角膜が悲鳴をあげていることになります。

 

今までのご自身のCL使用法が目に負担になっていないか、どうぞ診察の際に遠慮なくご質問下さい。


改正薬事法

 

薬事法が改正され、コンタクトレンズが高度管理医療機器に認定されました。200541日)

 

当クリニックに併設されております「アイコン」も、高橋はるみ知事から 高度管理医療機器等販売業賃貸業許可証を許可番号58-127にて交付されました。当クリニックでは、今まで通り、患者さんの角膜に安全なコンタクトレンズの処方・診察・管理を続けていきます。便利なコンタクトレンズで目を傷つけないように、診療・指導させていただきます。


遠近両用コンタクトレンズ <2006.9.1発行 優しい眼科クリニック第34号から>

 

今回は、誰もが避けて通ることのできない「老眼」についてのお話をしたいと思います。

 

物を見る仕組みから

人はどのような仕組みでものを見ているのでしょうか。ものを見る仕組みを考えながら、老眼について考えてみましょう。目の働きや構造はよくカメラに例えられます。黒目(角膜)のすぐ後ろに透けて見えるいわゆる茶目は虹彩といい、これは目の中に入ってくる光の量を調節する働きがあり、カメラのしぼりにあたります。この虹彩の後ろに水晶体という部分があります。水晶体はカメラのレンズと同じで、私達が見ようとするものを正しく、網膜(カメラのフィルムにあたる部分)に焦点を結ばせる働きがあります。網膜に映った像が視神経を通して脳に伝えられ、私達は、初めてものを見ることができるのです。

 

今回の老眼の主役は水晶体です。水晶体という名前ですが、キラキラ光っている訳ではありません。もともとは透明なレンズなのです。もちろん、その中に未来の姿や占いの結果を映してくれる水晶玉とは違います。カメラの場合、レンズが前後に動くことによって、遠く、近くにピントを合わせてくれます。私たちの目は、水晶体がその厚みを変えることによって、遠く、近くにピントを合わせるのです。遠くの物を見る時に水晶体は薄くなり、近くの物を見る時は水晶体がその厚みを増してピント合わせをしてくれているのです。この素晴らしい水晶体の働きのおかげで、私たちは、遠くも近くも良く見えるオートフォーカスの世界を享受しているわけなのです。

老眼とは

老眼とは、ピント合わせの働きをしている水晶体の弾力性が、段々となくなってくるために、近くの物にピントが合わせにくくなってくる状態です。もちろん、ある日突然、水晶体が硬くなってしまうわけではありませんので、段々と「アレッおかしいな」と思うことが増えてくるようです(まだ伝聞形)。

 

「おかしいな」と思うこととして、

本を読む時、腕を伸したほうが見やすい。

少し暗くなると、本が読みにくくなる。

本を読んでいて、ヒョイと目をあげると、ぼんやりと見えていて、ジッと見ていると、段々はっきりしてくる。

というお話をよく聞きます。

 

「少し暗くなると本が読みにくくなる」など、暗くなると老眼が悪化したように感じるのは、どうしてでしょうか?暗い所ではカメラのしぼりにあたる虹彩が光をより多く取り入れようとするために、瞳(瞳孔)が拡がります。瞳が拡がると焦点深度が浅くなるので、老眼が悪化したように感じるのです。本を読んだりする時は、手元を明るくして、読むようにしましょう。これら手元が見えにくい状況が出て来たら、そろそろ近用鏡(いわゆる老眼鏡)のお世話にならなければいけません。手元が見えにくいのに無理をしていると、目の疲れ、肩凝り、頭痛などの症状を引き起こすこともあるのです。

元々近視で眼鏡をかけている方は、遠近両用眼鏡に変えたとしても、今は多焦点レンズの良いものが出ていますので、境目がなくほかの人からは遠近両用眼鏡とわかりませんから、スムーズに移行することができると思います。元々遠視があり遠くが良く見えていた方は、近用鏡に抵抗があるようです。遠視の方は、遠くを見る時にも、水晶体が若干厚くなってピンと合わせをする必要があるため、近くを見る時には更なる水晶体のピンと合わせが要求されています。そのため、遠視の方は早いうちに手元が見えにくいという状況になります。遠くの視力が良好でこれまで眼鏡をかけていなかったという方は「目に自信がある」方が多く、近くを見る時だけに眼鏡をかけると、人より老けて見られるので嫌だというお気持ちが強いようです。でも、日常生活で近くを見る機会は非常に多く、無理をせず早めに近用鏡をお使いになりますと、「疲れがとれて楽になった」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

 

遠近両用コンタクトレンズ

コンタクトレンズが普及するようになってから、大分年数も経ってきていますので、コンタクトレンズユーザーの中にも、老眼年齢に達している方々が増えてきています。そのニーズに答えるように遠近両用のコンタクトレンズが開発され、装用者が増えつつあります。やはり、ハードとソフトタイプの2種類のレンズがあります。これら遠近両用コンタクトレンズは、1枚のレンズの中に遠くをよく見るための遠用部分と近くをよく見るための近用部分が組み込まれているものです。それまで、ハードレンズを使っていた方は、もちろんハードの遠近両用レンズがお勧めです。ソフトレンズを長期間使っていらした方の中には、角膜内皮細胞が大きくなって、その数が減ってしまっている方もいらっしゃいますので、詳しい検査のうえ、よく相談させて頂きます。当クリニックでは、メニコン メルスプランでお使いいただく遠近両用コンタクトレンズをお勧めしています。ハードレンズのメニフォーカルZソフトレンズはメニフォーカルSです。興味のある方は、メニコンのパンフレットがございますので、スタッフにお申し付けください。

(追記)ソフトレンズの遠近両用には、2週間交換のシリコンタイプの酸素透過性の良好なプレミオ遠近両用にLowとHiの2タイプ、そして初期の老眼の方のためにDUO というレンズも用意されています。


病気&クスリの新常識 200611月 財界さっぽろ発行「あなたの街のお医者さんガイドホームドクター」から

角膜を守るためにもコンタクトレンズとメガネの併用習慣を

 

 私には「目に入れても痛くない」ほど可愛がっているものがあります。大学1年生の時からですので、もうかれこれ25年の付き合いになります。

 

 それは、コンタクトレンズ(CL)です。私は強度近視でCLなしでは人前には出たくないですし、CLの恩恵にあずかっている者の一人ですが、そのありがたいCLでトラブルを起こす方が非常に多いので、正しく使用していないために危険にさらされている方には、ついつい辛口になってしまう傾向があります。

 

 私のCLに対する考え方は、「CLはあくまでも目にとっては異物であり、きちんと使用しなければ目に害を及ぼす危険性のあるもの」ですが、「きちんと使用すれば安全であり、視力の悪い人にとっては非常に便利でありがたいもの」というものです。

 

  CLを使用する方に(既に使用している方にも)強調したいことは、「眼鏡と併用しましょう」ということです。角膜に必要なのは、酸素です。角膜は涙から酸素という栄養を受けていますので、正しいフィッティングで、酸素透過性の優れたレンズを、正しい使用法で装用しなければなりません。起きている時間帯に眼鏡をかけて、CLを装用していない状態の時間を持つことが大切です。お勧めは、お家に帰ったらすぐに眼鏡にすることです。

CLは 眼鏡の代わりに使えるものですが、

    眼鏡の替わりに使うものではありません。

 

 いまや多くの人がCLを装用し、その数は1400万人を超えるといわれています。しかし、不適切な使用により、CL装用者の710%の人に眼障害が発生していると報告されています。

 自覚症状がなくても、角膜に問題が起きていないか、自分の使い方が目の負担になっていないかを、眼科専門医の検診で確認してください。

 大切な目です。

 

 CLは「目に入れても痛くないように」可愛がってください。


コンタクトレンズQA <2017年グラフ旭川8月号から>

 

Q 初めてコンタクトレンズ(CL)を使用したいのですが、どんなレンズが良いですか?

 

A 目の度数や使用目的によって、お勧めのレンズは変わってきます。CLは大きく分けるとハードレンズとソフトレンズがあります。言葉通りハードは硬めでソフトは柔らかめのレンズです。レンズをつけた感じはソフトのほうが違和感は少ないのですが、ハードの方が視力が出やすい、黒目(角膜と言います)に酸素が行きやすいという利点があります。近視の度数が強い方、乱視の度数が強い方、レンズを使う時間が長い方はハードレンズをお勧めしています。ソフトレンズには「1日使い捨て」「2週間」「1か月」使用するレンズなどがあります。週に23回や週末のみの使用の場合には、1日使い捨てレンズをお勧めします。どんな時にどんな風に使いたいかご希望を聴かせていただきます。まずはご相談ください。

 

Q  CLは何才から使えますか?

 

A  CLは角膜に直接のせて使うものですので、角膜に傷がついたり、角膜に酸素が行きにくくなったり、場合によっては細菌などに感染する危険性があります。ですので、ご自分でしっかり清潔にレンズの手入れをする必要があります。また、長期間CLを使用することによる角膜への負担は無視できませんので、あまり小さいお子さんにはお勧めしていません。早くても中学生でしょうか。私はできれば高校生からをお勧めしています。小学生のサッカーの試合で、眼鏡では出場できないというような場合は、サッカーの時だけ、1日使い捨てレンズを使用するようにお勧めしています。

 

Q 中学生の息子が学校健診で視力低下を指摘されました。眼鏡とCL、どちらがいいですか?

 

A  CLは一日中付けたままではなく、起きている間に眼鏡をかけて、角膜に酸素を充分に送る時間がどうしても必要です。また、目にトラブルが起きた際も必ずCLを外し、眼鏡を掛けていなくてはいけません。眼鏡を作らずにCLを使用し、長時間CLを付けて目にトラブルを起こして、受診する方も時々見受けられます。そんなことにならないように、キチンと合っている眼鏡をお持ちでないとCLの処方をご遠慮いただいています。まずは眼鏡を作って、眼鏡の見え方に慣れてから、CLを考えて欲しいと思います。CLはあくまでも目にとっては異物であり、きちんと使用しなければ目に害を及ぼす危険性のあるものですが、キチンと使用すれば安全であり、視力の悪い人にとって非常に便利でありがたいものです。CLを使用する方は、ぜひ眼鏡と併用してください。CLで目に病気を起こさないためにも重要なことですので、どうぞご理解くださいませ。

 

Q 現在、50歳でソフトレンズを30年使用しています。最近、近くが見えにくくなって来ました。もうCLは無理でしょうか?

 

A 年齢から考えますと、近くが見えにくくなってきたのは、老眼ではないかと思います。遠近両用のソフトレンズもありますので、眼科を受診して、検査を受けてください。CLの装用年数の長い方は、角膜内皮細胞(二度と再生しないもの)が減っていないか検査します。この細胞が減りすぎると、角膜が白く濁り、矯正しても視力が上がらなくなります。角膜内皮細胞に異常がなければ、遠近両用CLで近くも見えやすくなり、快適に生活できる可能性があります。

 

Q  CLはインターネットで購入していますが、何か問題ありますか?

 

A  CLは処方して終わりではなく、使うご本人がしっかりとしたレンズケアをしながら、検診をうけてもらい、問題がないかを確認しながら使っていく医療機器です。せっかくの便利なCLで逆に目にトラブルを起こしてしまっては元も子もありません。調子が良いからと言って、定期検査を受けないと、目にトラブルが起きることがあります。CLの使用はあくまでも自己責任ですが、未然に防ぐことが出来るようにすることが私ども眼科医の使命だと考えます。ぜひ眼科専門医で検診を受けて下さい。


メルスプランとは

メルスプランとは?

 眼科医に定期的に目の状態をチェックしてもらいながらコンタクトレンズを使うシステムです。

 

なぜ、定期的に目の状態をチェックしてもらったほうがいいの?

 適切な使い方をしていないと、年齢を重ねたとき、コンタクトレンズが使えなくなることがあります。

 

角膜内皮細胞が一定以上減ることを防げる。

 角膜内皮細胞(二度と再生しないもの)が減りすぎると、角膜が白く濁り、矯正しても視力が上がらなくなる。

 

知らず知らずにしてしまいがちな、間違った使い方を防げる。

 角膜炎になってしまうと、目が痛くなったり、視力が悪くなったりする。ひどい場合、矯正しても視力が上がらなくなる。

 

 ※矯正しても視力が上がらなくなると、治す方法は角膜移植しかありません。

 

その他、様々な目の病気も防げる。

 

コンタクトレンズは「きちんと使用すれば安全であり、視力の悪い方にとっては非常にありがたいものですが、

あくまでも、目にとっては異物であり、きちんと使用しなければ目に害を及ぼす危険性のあるもの」です。

 

ですので、不適切な使い方をしてしまったが故に大変な症状や手術を要するトラブルを引き起こしてしまったケースを何度も見たり聞いたりしている眼科医としては、当クリニックにいらっしゃった皆さまには、そんな思いだけはしてほしくないと強く願っています。

 

メルスプランは、目の健康を守るのに最適なコンタクトレンズの使い方だと眼科医として太鼓判を押したうえでお勧めいたします。

 

一見面倒には見えますが、トラブルを起こしてからでは、もっともっと面倒で大変なことになってしまいます。

 

トラブルを起こさないようにするためのメルスプランだとご理解いただけると嬉しいです。

 

ソフトレンズは、目の痛みを感じにくく、自分で気がつかないうちに角膜に傷がついている危険性がありますので、3か月に1回の検診をお勧めします。

 

ハードレンズはソフトレンズより安全性が高く、半年に一度の検診をお勧めします。

検診では、視力検査、フィッティング検査、眼底検査を行います。角膜内皮細胞検査は1年に1回検査いたします。