ドライアイ診療

ドライな人増えてます2015年グラフ旭川5月号から>

 

 ドライアイ患者は、およそ800万人と言われています。初期症状はとてもあいまいで、何となく目が疲れやすいという感じで、自分では気づきにくいものです。気になる方は、ドライアイの検査をお勧めします。

 

無意識に出る涙は大切
 涙は上まぶたの外側にある涙腺(るいせん)で作られます。涙というと、悲しい時に出る涙を思い浮かべますが、 目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時にもたくさん出ますし、 アクビをしても出ます。それ以外に重要な涙は、意外にも出ていることを意識させずに出ている涙なのです。この涙は、1日分溜めたとしても0.61ml ですから、1年分でも220365ml 。 コーラの細い缶から太い缶くらいにしか溜まらないことになります。この涙を基礎分泌といいます。

 

関係する3つの神経

 涙の分泌を刺激する神経は、角膜の知覚を司る三叉神経、 自律神経である副交感神経と交感神経の3種です。目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時などの反射性分泌は三叉神経、 悲しい時などの感情的な涙の分泌は副交感神経、 基礎分泌には交感神経が作用しています。

 

涙の三層構造

 目の表面にある涙の大部分は涙腺から分泌される水分ですが、 実はそれだけではありません。水分の蒸発を防ぐ油分や、 水分を保持する働きのあるムチンというネバネバした物質が層となり表面を覆っています。この水分が減ったり、油分の減少で水分が蒸発しやすくなったり、 ムチンが少ないために水分が保持できなくなるなど3つの成分のバランスが崩れると、ドライアイの症状が出ると考えられています。

 

多彩な症状

 ドライアイは涙の量の減少や涙の質の変化で、目の表面の角膜や結膜に 障害が起きた状態のことです。目の表面の乾きによる症状は多彩で、 疲れる 、重い 、目がショボショボ・ゴロゴロする 、充血する、 痒い、 痛い、視力が下がった、 まぶしい、 目やにがでるなど、他の病気でも見られる症状が目白押しです。そこで視力検査など眼科一般検査をひと通り行い、ドライアイが疑われた場合には涙の検査になります。

 

微細な傷は染色で

 細隙灯顕微鏡検査で涙不足で目の表面に傷がついていないかを調べます。もちろん、そのまま顕微鏡で観察することもできますが、 微細な傷は色素で染色することによって、わかることがあります。フルオレセインという色素をつけて、コバルトブルーフィルターを通した 光で照らすと、傷ついた部分が色素に染まって見えます。また、この時に少し瞬きを我慢してもらい、 涙の膜の安定性を調べる検査も行います。次に涙の量を測るシルマーテストと呼ばれている検査を行います。 細長い濾紙を下まぶたに挟んで、5分間でどれくらい濡れるかで涙の分泌量を測定します。5分後に5ミリメートル以下だとドライアイと診断されます。

治療方法は2つ

1.点眼薬で目を潤す。

不足している涙の替わりに、人工涙液を点眼して直接目の表面を潤すのが、ドライアイの基本的な治療法です。人工涙液の点眼液は、頻繁に点眼していただきます。保水効果のあるヒアルロン酸の点眼薬を処方することもあります。水分とムチンの分泌を促す「ジクアホソルナトリウム」という点眼薬もドライアイに有効です。また、点眼薬ではありませんが、朝起きた時の目の表面の状態を良好に保つために、寝る前につけてもらう眼軟膏を処方することもあります。

 

2.涙点プラグ

少ない涙を有効に使う目的で、涙点プラグを入れる方法もあります。 これは涙点を塞ぐことで、少ない涙を目の表面に 長く留まるようにする方法です。 顕微鏡を使って、目頭の涙点に小さなプラグを差し込むというものですが、 痛みもなく短時間でできる処置です。コラーゲンを使用した液状の涙点プラグも使えるようになりました。

 

意識してまばたきを

 日常生活の工夫で 症状が楽になることもあり、その一つがまばたきです。 まばたきをするたびに目の表面に涙が送り込まれます。 普段は1分間に20~30回のまばたきを繰り返していますが、 コンピュータ画面を凝視している時や、集中して小さな文字の書類を 見ているときには、普段の4分の1にまで低下していると言われています。仕事中などは、意識してまばたきの回数を増やすことも 目の表面のリフレッシュになると思います。また、部屋の空気は乾燥 しがちですので、加湿を心がけ、温かいタオルで目を温めるのも 良い方法と考えられます。

 ドライアイかな?と思う方は、ぜひお近くの眼科を受診してください。


ドライアイ 2010.11.1発行 優しい眼科クリニック第84号から

 

今回はドライアイについてのお話です。

 

涙は

涙は上まぶたの外側にある涙腺(るいせん)という場所で作られます。涙といいますと、悲しい時に出る涙をすぐに思い浮かべますが、目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時にもたくさん出ますし、アクビをしても出ますよね。それ以外に重要な涙は、意外にも出ていることを意識させない、気がつかないうちに出ている涙なのです。この気がつかないうちに出ている涙は、1日分溜めたとしても0.61ml とのことですから、1年分溜めたとしても220365ml です。コーラの細い缶から太い缶くらいにした溜まらないことになります。気がつかないうちに出ている涙を基礎分泌といいます。

涙の分泌

涙の分泌を刺激する神経は、角膜の知覚を司る三叉神経と、自律神経である副交感神経と交感神経の3種です。目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時などの反射性分泌は三叉神経、悲しい時などの感情的な涙の分泌は副交感神経、基礎分泌には交感神経が作用しています。

 

涙の通り道

分泌された涙は目の表面を濡らした後、目頭の上下にある小さな穴(涙点)に吸い込まれ、細い管(涙小管)を通って涙嚢(るいのう)と呼ばれる涙のふくろに溜まり、さらに鼻涙管を通って、鼻の奥に抜けていきます。これを涙の道、涙道といいます。

 

涙の三層構造

目の表面にある涙の大部分は涙腺から分泌される水分ですが、実はそれだけではありません。水分の蒸発を防ぐ油分や、水分を保持する働きのあるムチンというネバネバした物質が層となり表面を覆っています。この水分が減ったり、油分の減少で水分が蒸発しやすくなったり、ムチンが少ないために水分が保持できなくなるなど3つの成分のバランスが崩れると、ドライアイの症状が出ると考えられています。

 

ドライアイの症状

ドライアイは涙の量の減少や涙の質の変化で、目の表面の角膜や結膜に障害が起きた状態のことです。しかし目の表面の乾きによる症状は多彩で、

目が疲れる

目が重い

目がショボショボ・ゴロゴロする

充血する

痒い

痛い

視力が下がった

まぶしい

目やにがでる・・・

など、他の病気でも見られる症状が目白押しです。そこで視力検査など眼科一般検査を一通り行い、ドライアイが疑われた場合には、涙の検査になります。

 

ドライアイの検査

細隙灯顕微鏡検査(眼科で必ずする、アゴとおでこをつけて下さい、ってヤツです)で涙の不足のために目の表面に傷がついていないかを調べます。もちろん、そのまま顕微鏡で観察することもできますが、微細な角結膜の傷は色素で染色することによって、わかることがあります。フルオレセインという色素をつけて、コバルトブルーフィルターを通した光で照らしますと、角結膜の傷ついた部分が色素に染まって見えます。また、この時に少し瞬きを我慢していただいて、涙の膜の安定性を調べる検査も行います。次に涙の量を測る検査を行います。これは、シルマーテストと呼ばれている検査です。細長い濾紙を下まぶたに挟んで、5分間で濾紙がどれくらい濡れるかを調べることによって、涙の分泌量を測定します。5分後に5ミリメートル以下だとドライアイと診断されます。検査は少しゴロゴロしますが、濾紙に角膜が当たらないようにやや上方を見つめて、瞬きは普通にしていただきます。

 

ドライアイの治療

1.点眼薬で目を潤す。

不足している涙の替わりに、人工涙液を点眼して直接目の表面を潤すことが、ドライアイの基本的な治療法です。人工涙液の点眼液は、頻繁に点眼していただきます。人工涙液以外には保水効果のあるヒアルロン酸の点眼薬を処方することが多いです。新たに水分とムチンの分泌を促す「ジクアホソルナトリウム」という点眼薬も厚生労働省の認可を受け、発売準備中とのことです。また、点眼薬ではありませんが、朝起きた時の目の表面の状態を良好に保つために、寝る前に目につけてもらう眼軟膏を処方することもあります。

2.涙点プラグ

少ない涙を有効に使う目的で、涙点プラグを入れる方法もあります。これは、涙点を塞いでしまうことによって、少ない涙を目の表面に長く留まるようにするという方法です。顕微鏡を使って、目頭の涙点に小さなプラグを差し込むというものですが、痛みもなく短時間でできる方法です。コラーゲンを使用した液状の涙点プラグも新しく使えるようになりました。

 

日常生活の工夫

当クリニックで行う治療は、主に上記の方法ですが、日常生活の工夫で症状が楽になることもあるのです。その一つが瞬きです。瞬きをするたびに目の表面に涙が送り込まれます。普段は1分間に20~30回の瞬きを繰り返していますが、コンピュータ画面を凝視している時や、集中して小さな文字の書類を見ているときには、瞬きの回数が普段の4分の1にまで低下していると言われています。仕事中などは、意識して瞬きの回数を増やすことも目の表面のリフレッシュになると思います。また、この季節はストーブなどの暖房によってお部屋の空気が乾燥しがちです。できるだけ加湿を心がけ、温かいタオルで目を温めるのも良い方法と考えられます。

 

ドライアイの患者さんは、およそ800万人と言われています。初期症状はとてもあいまいで、何となく目が疲れやすいという感じで、ご自分では、気づきにくいものです。気になる方は、ドライアイの検査をお勧めします。


ドライアイ <2004.11.1発行 優しい眼科クリニック第12

 

前回は涙目のお話をさせていただきましたが、涙が多くて困る涙目の反対が涙が少なくて困るドライアイです。そこで、前回の涙目のお話から少し復習をお願いします。

涙は

涙は上まぶたの外側にある涙腺(るいせん)という場所で作られます。涙といいますと、悲しい時に出る涙をすぐに思い浮かべますが、目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時にもたくさん出ますし、アクビをしても出ますよね。それ以外に重要な涙は、意外にも出ていることを意識させない、気がつかないうちに出ている涙なのです。この気がつかないうちに出ている涙は、1日分溜めたとしても0.61ml とのことですから、1年分溜めたとしても220365ml です。コーラの細い缶から太い缶くらいにした溜まらないことになります。気がつかないうちに出ている涙を基礎分泌といいます。

 

涙の分泌

涙の分泌を刺激する神経は、角膜の知覚を司る三叉神経と、自律神経である副交感神経と交感神経の3種です。目にゴミが入った時やタマネギをきざんだ時などの反射性分泌は三叉神経、悲しい時などの感情的な涙の分泌は副交感神経、基礎分泌には交感神経が作用しています。

 

涙の通り道

分泌された涙は目の表面を濡らした後、目頭の上下にある小さな穴(涙点)に吸い込まれ、細い管(涙小管)を通って涙嚢(るいのう)と呼ばれる涙のふくろに溜まり、さらに鼻涙管を通って、鼻の奥に抜けていきます。これを涙の道、涙道といいます。

 

ドライアイの症状

ドライアイは涙の量の減少や涙の質の変化で、目の表面の角膜や結膜に障害が起きた状態のことです。しかし目の表面の乾きによる症状は多彩で、

目が疲れる

目が重い

目がショボショボ・ゴロゴロする

充血する

痒い

痛い

視力が下がった

まぶしい

目やにがでる・・・

など、他の病気でも見られる症状が目白押しです。そこで視力検査など眼科一般検査を一通り行い、ドライアイが疑われた場合には、涙の検査になります。

 

ドライアイの検査

細隙灯顕微鏡検査(眼科で必ずする、アゴとおでこをつけて下さい、ってヤツです)で涙の不足のために目の表面に傷がついていないかを調べます。もちろん、そのまま顕微鏡で観察することもできますが、微細な角結膜の傷は色素で染色することによって、わかることがあります。フルオレセインという色素をつけて、コバルトブルーフィルターを通した光で照らしますと、角結膜の傷ついた部分が色素に染まって見えます。また、この時に少し瞬きを我慢していただいて、涙の膜の安定性を調べる検査も行います。次に涙の量を測る検査を行います。これは、シルマーテストと呼ばれている検査です。細長い濾紙を下まぶたに挟んで、5分間で濾紙がどれくらい濡れるかを調べることによって、涙の分泌量を測定します。5分後に5ミリメートル以下だとドライアイと診断されます。検査は少しゴロゴロしますが、濾紙に角膜が当たらないようにやや上方を見つめて、瞬きは普通にしていただきます。

 

ドライアイの治療

1.点眼薬で目を潤す。

不足している涙の替わりに、人工涙液を点眼して直接目の表面を潤すことが、ドライアイの基本的な治療法です。人工涙液の点眼液は、頻繁に点眼していただきます。人工涙液以外には保水効果のあるヒアルロン酸の点眼薬を処方することが多いです。また、点眼薬ではありませんが、朝起きた時の目の表面の状態を良好に保つために、寝る前に目につけてもらう眼軟膏を処方することもあります。

2.涙点プラグ

少ない涙を有効に使う目的で、涙点プラグを入れる方法もあります。これは、涙点を塞いでしまうことによって、少ない涙を目の表面に長く留まるようにするという方法です。顕微鏡を使って、目頭の涙点に小さなプラグを差し込むというものですが、痛みもなく短時間でできる方法です。

 

日常生活の工夫

当クリニックで行う治療は、主に上記の方法ですが、日常生活の工夫で症状が楽になることもあるのです。その一つが瞬きです。瞬きをするたびに目の表面に涙が送り込まれます。普段は1分間に20~30回の瞬きを繰り返していますが、コンピュータ画面を凝視している時や、集中して小さな文字の書類を見ているときには、瞬きの回数が普段の4分の1にまで低下していると言われています。仕事中などは、意識して瞬きの回数を増やすことも目の表面のリフレッシュになると思います。また、この季節はストーブなどの暖房によってお部屋の空気が乾燥しがちです。できるだけ加湿を心がけ、温かいタオルで目を温めるのも良い方法と考えられます。

ドライアイの患者さんは、およそ800万人と言われています。初期症状はとてもあいまいで、何となく目が疲れやすいという感じで、ご自分では、気づきにくいものです。気になる方は、ドライアイの検査をお勧めします。