目ディカル相談室2012

20121125日 グラフ旭川12月号 
「スポーツコンタクト」

 

20121025日 グラフ旭川11月号 
「ハードとソフト」

 

2012926日 グラフ旭川10月号 
「ハードレンズ希望」

 

2012827日 グラフ旭川9月号 
「7才の遠視」

 

2012725日 グラフ旭川8月号 
「外傷後の眼瞼下垂?」

 

2012625日 グラフ旭川7月号 
「中心暗点」

 

2012526日 グラフ旭川6月号 
「目の健康講座」

 

2012426日 グラフ旭川5月号 
「虚血性視神経症後の白内障手術」

 

2012326日 グラフ旭川4月号 
「流涙症」

 

2012226日 グラフ旭川3月号 
「群発頭痛」

 

2012126日 グラフ旭川2月号 
「高眼圧症」

 

20111226日 グラフ旭川1月号 
「間歇性外斜視」

グラフ旭川12月号 「スポーツコンタクト」

Q)こんにちは。お忙しい中すみません。質問がありましてメールしました。

 今後、コンタクトを使用してみたいと思っていますが、眼科の方で調べていただいてどんなコンタクトが適切なのか?使用方法などを教えていただけるのでしょうか?

 それとスポーツコンタクトというものもありますか?

 ご返事いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

 

A) ご連絡ありがとうございます。コンタクトレンズ使用希望とのことですね。

 まずは、目に病気がないかの検査を受けていただきます。次には、適切な眼鏡をお持ちかも検査させていただきます。コンタクトレンズは少なからず目に負担をかけてしまいますので、コンタクトレンズ装用の時間が長くなってしまわないように、眼鏡との併用が必要になります。お使いの眼鏡が合っていない場合は、眼鏡を先に処方します。以上の検査で、問題なければいよいよコンタクトレンズ合わせです。

 どういった時にご使用になるのか、近視の度数はどれくらいか、乱視の度数はどれくらいか、1日何時間くらいの使用を希望しているのかなどの観点から、目に安全なレンズをお勧めします。スポーツコンタクトというものはございませんが、激しいスポーツにはソフトレンズがハードレンズよりも適している場合があります。

 使用するコンタクトレンズが決まりましたら次ははめはずしの練習になります。完全にご自分で安心してはめはずしができるようになるまで指導します。ご自分でできるようになったら、お試し使用の開始です。

 以上のような流れになります。どうぞご参考になさってください。


グラフ旭川11月号 「ハードとソフト」

Q)コンタクトのことについて、質問させていただきます。

 普段はハードコンタクトを着用していますが、宿泊やスポーツの際はソフトを使用しています。夜は基本的にメガネを使用しています。

 ハード着用の際、左右のバランスが悪く、非常に疲れます。また、右目に違和感を感じます。作りなおすことを思案中ですが、このように3種類の矯正をしていいものなのでしょうか?それぞれに度数が違うのですが、それでも良いのでしょうか?

A) ご連絡有難うございます。

 「普段はハードレンズで、宿泊やスポーツの際はソフト」という使い方は問題ないと思います。基本的にはハードレンズの方が、角膜に行く酸素が多いのでハードレンズ中心の使用をお勧めします。夜は眼鏡ということですが、角膜に充分な酸素を送るためには、眼鏡の時間が長いことが好ましいと思います。

 ハードレンズは1年で新しいレンズに取り替えて使ってください。ハードレンズを長期間にわたって使用している方が見受けられますが、使っているうちに汚れによって、酸素透過性が低下します。1年での交換が望ましいと考えています。

 左右のバランスがハードレンズで悪いとのことですが、度数が合っていない可能性があると思います。

 それぞれに度数が違うとのことですが、ハードとソフトでは、涙のレンズ効果の関係からまったく同じ度数ということにはなりません。しかし、違和感などの症状があることからは、適正な度数になっているかどうかの検査が必要かと思います。処方を受けている眼科でのご相談をお勧めいたします。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川10月号 「ハードレンズ希望」

Q)高校一年生の娘がメガネを掛けているのですが、最近コンタクトにしてみたいと・・・

 今は使い捨てなど便利になっているのは分かっているのですが、経済的な事を考えると、長持ちするハードレンズがいいのかな?と親としては考えてしまうのですが、実際診察しなければハードが合うのかなどは分からないとは思うのですが。

 先日メガネを作るために近くの眼科に行ったのですが、その時、チラッと「最近は使い捨てありますけどハードコンタクトレンズはどうですかね?」っとお聞きしたら、笑いながら、「ハード?今でもあるのかね?俺は知らないけど」「今は使い捨てだからね~清潔だし、だからみんな使ってるんだよ。お金・・・そんな変わんないよ」何だか、ものすごく嫌な思いをしてしまって、馬鹿にされたような言い方で・・・

 ハードコンタクトレンズを選択してはいけないのかな?と思わせるような。もし実際に診察したり、装着して合わない場合は、ソフトでも使い捨てでもしょうがないとは思うのですが、最初からダメみたいに言われる所での、コンタクトレンズの相談は無理だなと思い、ネット検索しているうちに先生のHPを見つけました。

 ハードコンタクトの扱いもされているんですよね?最初から否定的なお話にはなりませんよね?ながなが愚痴になってしまってすいません。よろしくお願いいたします。

 

A) ご連絡有難うございます。当クリニックでは酸素透過性ハードレンズも扱っております。

 コンタクトレンズは大きく分けて「ハード」「ソフト」の2種類に分けられます。

 「ハード」は安全性には最も優れています。ただし、名前の通りレンズが硬いので、慣れるまで時間がかかり、異物感のために装用できない方もいらっしゃいます。近視度数の強い方、乱視の強い方、1日の装用時間の長い方に適しています。

 「ソフト」は名前の通りレンズが柔らかいので、慣れるのが早く、付け心地は良好です。目に酸素が行きにくいという欠点がありますので、長時間の装用はお勧めできません。また、細菌やアメーバなどに感染する危険性がありますので、しっかりとした擦り洗いのケアが必要です。ドライアイ、アレルギーのある方には向かないこともあります。

 安全性は上に述べましたようにハードの方が高いと考えられます。でも、ご質問にありました「経済的な事を考えると長持ちするハードレンズ」という考え方は正しくありません。現在の酸素透過性ハードレンズは、1年に1回の更新が必要です。せっかく安全性の高いハードレンズを使っていても長い期間使用しますと、汚れのため酸素透過性が低下してしまうからです。

 当クリニックではメルスプランでのハードレンズの使用をお勧めしています。安全にきれいなレンズを使用するためのメニコンのシステムです。月会費制になっています。くわしくは、メニコンのホームページで検索してみてください。ハードレンズのお試しもできます。

 初めての方の場合は、一度眼底検査を含め詳しい検査を受けていただいて問題なければ、次回に装脱練習になります。ご希望であれば、予約の上受診してください。どうぞ参考になさってくださいね。


グラフ旭川9月号 「7才の遠視」

Q)こんにちは。初めてご質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 7歳の娘が、時々小さいものが見ずらく、頭痛がするというため眼科を受診したところ、裸眼視力は両目1.2でしたが、遠視と言われました。数値は両目+2.0ほどで、軽い遠視とのことでした。

 が、後日、散瞳をし検査を行ったところ、両目+4.0ほどで弱視になってもおかしくないくらいの値だといわれました。ただ、裸眼視力が良いためメガネはかけずに様子を見てよいとの事です。

 そこでお聞きしたいのですが、

1) 子供の遠視はメガネで矯正してあげることが大事と聞いていたのですが、裸眼視力が1.2あり、弱視の心配がないようであれば、かけなくてもよいものなのでしょうか?(頭痛も、かけて良くなるとははっきり言えないとの事でした。)

2) もしかけた場合、授業中だけかけるといったスタイルと、終日かけるスタイルではどちらが良いのでしょうか?(目の矯正という意味で、終日のほうがよいのでしょうか?)

3)遠視の程度が重いとの事なので、これ以上の回復は望めないのでしょうか?メガネをかけた場合、外せることはないのでしょうか?

 お忙しいところ大変申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

A) ご連絡有難うございます。娘さんの遠視とのことで、ご心配の事とお察しします。

 ご連絡いただいたデータから私の考えを伝える事もできますが、そのことが娘さんにとってよいことかどうか考えます。

 「7歳の遠視」と一言で言われましても視力検査のときの反応、眼位検査の結果(内斜視もしくは内斜位はないかどうか)、散瞳検査に用いた点眼薬の種類、検査データを得た器械の種類など、わからない点も多く、普段私が用いている方法と異なる可能性もあります。

 まずは、検査を受けた先生によく説明を受けてみてください。ご質問からは主治医の先生は詳しく説明してくれている先生だと思います。それで、納得いかなければ、セカンドオピニオンを求めて、次の先生の診察を受けるのがよろしいかと思います。

 診察をせずに相談をうけることには、限界があることもご了承ください。今回の娘さんの遠視に関しましては、ネットで相談するよりも、診察して下さった先生に よく相談されるのがよろしいかと考えます。

 ご期待に応えるお答えでなく、申し訳ございません。


グラフ旭川8月号 「外傷後の眼瞼下垂?」

Q18ヶ月の幼児について相談があります。

 今年5月末に階段で眉毛部を強打しました。結果、眉毛に沿って相当腫れました。ただ、本人は暫くして機嫌良さそうにしていたのでそのまま放置しました。その後、2週間程度で腫れは引き、瞼の内出血らしきものも無くなりました。

 ところが、最近になってぶつけた方の眼が小さくなったように見えるのです。正確には以前に比べて瞼が下がっているように見える。かつ、眼球が奥まったようにも見えるのです。眼が大きい子なので、余計にそう見えてしまう気もします。

 尚、常にという訳ではなく、時々上記のように見えます。また、瞼の動きについては正面よりも上を見上げる時に引き上げにくそうにしている感じがします。眼は上下左右に動くようだし、複視があるようにも見えないので眼球にダメージがあったとは思えません。

 どうしても気になるので打撲してから1ヶ月以上経ってしまったものの、念の為近所の眼科を受診しました。CTやレントゲン、精密検査等は無し。瞳孔のチェックや視力チェック(物を眼で追うかどうか)をし、「特に問題はないと思う」との回答を貰いました。

 でも、どうしても眼の見た目が気になります。もしかして隠れた問題が発生していて、直ぐに病院に連れて行けば避けられたのではないかと・・・。

 以下にお答えください。参考にしたいです。ネットでも調べましたが回答に辿り着きません。

・打撲によって瞼が下がる(がんけんかすい?)が起き得るか。その場合、治療法はあるか。手術は避けたい。

・実は骨折(吹き抜け骨折?)をしていたのではないか。実は複視になっていないか。チェック法はあるか。

・眼球陥没していないか。チェック法はあるか。

・上を見る時に瞼の開けづらさが顕著に出る。これもがんけんかすいか。

・精密検査が必要か。幼児の場合、どういった検査内容なのか。

・そもそも単なる気のせいか。筋肉や神経に問題はなく、本人がたまたまそのように眼を開けているだけか。その見分け方はあるか。

 宜しくお願い申し上げます。

 

A)ご連絡有難うございます。お子様の眼部打撲後の心配とのことですね。お近くの眼科で、「特に問題はないと思う」との回答とのことですので、心配ないものとは思いますが。

 打撲による眼瞼下垂は起きうると思います。瞼をあげる筋肉に外傷があり、そのために下垂になるケースはあり得ます。その場合の治療法としては、手術になるかと思います。

 眼窩吹き抜け骨折は眼球部を強く打撲した際に逃れられない外力が目のまわりの骨に伝わって生じます。眉毛部の外力では起きないものと考えます。

 眼球陥没は、視診で判断することもできますが、確実な診断となりますと、眼窩CT検査が必要になります。

 上を見る時の瞼の開けづらさは、眼瞼下垂でも生じる場合があります。

 ご心配でしょうから、やはり精密検査を受けた方がよろしいかと思います。眼窩CT検査などの画像検査も必要だと思います。大人ですと、じっと横たわっているだけですが、お子さんは怖がって(もちろん痛くない検査ですが)動く場合もあり少し眠くなるお薬を使うこともあります。その場合は小児科の先生に相談することになりますので、小児科もあり、CT検査のできる総合病院の眼科を受診してみては如何でしょうか。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川7月号 「中心暗点」

Q)はじめまして。初めてメール致します。

留萌市在住42歳男性です。私個人は、貴医院の受診履歴は無いのですが、何年か前に母が白内障の手術にて、お世話になった経緯があります。

 さて相談内容ですが、何日か前に突然、仕事で運転中に、前兆も無く左目に、眩しいものを見た時に残像が残るように、瞬きする度に白い丸い物が目に残るようになりました。最初のうちは気にかけていなかったのですが、2~3日経っても白い丸は消えず、色が段々と薄茶色がかって来た様にも思えます。眼球を動かすと丸も一緒に動き、丸い中は多少ボヤけてはいますが見えています。しかし焦点が合いづらくなることもしばしばです。白い壁などを見た時に、ハッキリと丸は確認できます。たまに、丸の中がチカチカと、いくつかの点が点滅したりすることもあります。原因は全く思い当たらないのですが、今後悪化していくような可能性はありますか?私の視力は、近視と乱視が混在で0.1~0.2程度で、メガネを常時使用しています。コンタクトレンズは、たまに使用していた期間はありましたが、もう8年くらい使用していません。

 良きアドバイス等御座いましたら、宜しくお願い致します。

 

A)ご連絡有難うございます。

 ご相談の内容からは、目の奥にある神経の膜の中心部、網膜(もうまく)の黄斑部(おうはんぶ)という場所に病気が起きている可能性がありますので、ぜひ眼科を受診することをお勧めします。

 私たちの目は、瞳から入った光が目の奥で像を結び、その像が神経を通って脳に伝えられることによって物が見える仕組みになっています。目の奥の一番内側にある神経の膜の網膜は、目をカメラに例えますとフィルムの役割を果たしています。網膜はその場所によって感度が異なり、網膜の中心部分は感度が高く、もっとも重要な部分で黄斑部と呼ばれています。黄斑部は視力に関わりが深く、物が見えたり色を識別する細胞が集まっています。

 ご相談にあります「白い丸い物が目に残る」というのは「中心暗点」という症状ではないかと思います。中心暗点は、網膜の黄斑部に変化が生じたときに起こる症状です。年齢からは、「中心性網脈絡膜症」が最も考えられますが、眼科で診断を受けて下さい。

 眼科では視力検査を行い、網膜の状態を詳しく調べるために精密眼底検査を行います。検査では目薬をさして瞳を開きます。そのためまぶしくなり、近くが見えにくい状態が4.5時間くらい続きますので、車の運転をせずに眼科を受診していただいた方がよろしいと思います。黄斑部に病気が生じている場合は「蛍光眼底造影検査」という検査が必要です。当クリニックでは、その造影検査はできませんので、大きい病院に紹介しています。留萌でしたら市立病院で検査可能と思われます。是非、留萌市立病院を受診することをお勧めいたします。どうぞお大事になさってください。


グラフ旭川6月号 「目の健康講座」

 今回の目ディカル相談室 目に優しいお話は、いつもの相談をお休みさせていただきまして、今月開かれる「目の健康講座」の告知です。

 日本眼科医会、北海道眼科医会の共催で、「目の健康講座:あなたの目は大丈夫ですか?」が開かれます。

 610日の日曜日、午前10時から、6条通9丁目の旭川グランドホテル 2階「孔雀の間」で開講されます。もちろん受講料は無料です。目についての大切な話を、お二人の先生がしてくださいます。

 ひとつ目の講演は、「白内障とその治療について」のタイトルで旭川赤十字病院眼科部長の太田勳男先生が担当されます。もうひとつの講演は旭川医科大学医工連携総研講座教授の石子智士先生が「目の健康を守るために」についてお話してくださいます。

 目の働きや構造はよくカメラに例えられます。黒目(角膜)のすぐ後ろに透けて見えるいわゆる茶目は虹彩といい、これは目の中に入ってくる光の量を調節する働きがあり、カメラのしぼりにあたります。この虹彩の後ろに水晶体という部分があります。水晶体はカメラのレンズと同じで、私達が見ようとするものを正しく、網膜(カメラのフィルムにあたる部分)に焦点を結ばせる働きがあります。網膜に映った像が視神経を通して脳に伝えられ、私達は、初めてものを見ることができるのです。

 白内障とは、カメラのレンズにあたる水晶体が白く濁ってくる状態です。冬の寒い日に、外から家の中に入ったときに、メガネが曇って見えなくなってしまうように、目の中に曇ったレンズが入っているために、目がかすんでしまう状態が白内障です。水晶体が濁り始めると、ものがかすんだり、二重に見えたり、まぶしく見えたりし、進行すれば視力が低下し、眼鏡での矯正ができなくなります。

 「目の健康講座」は毎年道内のいろんな街で開催されています。旭川で開かれるのは5年ぶりです。5年前の講座では黄斑変性のお話と目の検診の重要性のお話で、とてもわかり易いと大好評でした。目についてのまとまったお話を聞ける機会はあまりありません。きっと目に優しいお話が聞けると思いますので、お忙しい時期とは思いますが、ご興味のある方は是非お出かけください。受付は午前9時半からとなっております。


グラフ旭川5月号 「虚血性視神経症後の白内障手術」

Q)はじめまして。77歳の父が白内障の手術を薦められています。両白内障、両虚血性視神経症。左視力0.04右視力0.04(平成15年時点)。

 数十年来お世話になっていた眼科医には「見えにくいのは、白内障よりも細い血管が詰まっていることが原因。白内障の手術をしてもあまり見えるようにはならないと思う」と言われてきました。しかしその先生が引退なさり、跡を継がれたご子息が診察された直後(2年前)から今に至るまで手術を薦められている状況です。

 ところが……昨年6月に顕微鏡的多発血管炎、糸球体腎炎を発症。ステロイドと免疫抑制剤のパルス療法服薬で寛解に至り3カ月後退院。現在もステロイド、免疫抑制剤、その他を服薬中。健康状態は、年相応の日常生活は送れる程度。ただし脊柱管狭窄症の痛みがこの2カ月ほど激しく、一時期は歩けないほどでした。また咳もよくしております。

……以上のようなことを総合的に考えますと、白内障の手術が軽いほうだとはいえ控えたほうが無難ではと、私(長女)や母は思っています。

 しかし眼科医は「大丈夫、血管炎もステロイド・免疫抑制剤の服薬も関係ない。手術をするなら体力のある今しかない」と大変意欲的です(父が病気のことをシッカリとは伝えられていない可能性もあります)。

 そういうものでしょうか? 私ども家族が心配しすぎなのでしょうか?本人は、手術さえすれば必ずよく見えるようになると信じていること、点眼薬を頂戴しに行くたび医師に手術を薦められる気まずさから、ややしたいほうに傾いています。

 今野先生は、父の白内障手術をどう考えられますか?もしも今野先生に手術は控えたほうがと伺っても、そのことでご迷惑をお掛けするような言動は決して致しません。通院上の問題から違う病院へ掛かることも検討しておりますので、今後に支障もございません。ですから、どうか忌憚のない、今野先生ご個人のご意見を賜れますようよろしくお願い致します。(兵庫県在住)

 

A) ご連絡有難うございます。白内障手術の適応かどうかは、それぞれ個別の事情がありますので、ケースバイケースで、なかなかひとことで決められるものではありません。

 両眼の虚血性視神経症の既往があり平成15年時点で0.04とのことですから、視力回復という点におきましては、回復が難しい可能性があるかと思います。また、全身疾患による投薬も受けていらっしゃるという点からは、より手術に慎重になるご家族のお気持ちはお察し致します。また、長年診察されている主治医の先生の時期を遅くすると手術が難しくなるという判断にも根拠があるものと思われます。

 やはり、ご本人とご家族の方と一緒に、主治医の先生とよく相談されることが一番よろしいのではないかと考えます。「手術さえすれば必ずよく見えるようになると信じている」というお父様に、先生の術後の視力予測をお話していただいてご家族も含めて手術に納得されるか、相談が必要ではないかと思います。ご家族の方の心配も、直接お聞きになることをお勧め致します。

 白内障手術は簡単な手術と考えられるむきもありますが、私は、手術に簡単なものはないと考えています。もちろん、安全性は高い手術ですが、予期しないことが起きる心配もあります。手術をうける方、ご家族の方がご理解納得の上で手術に向かうべきと考えております。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川4月号 「流涙症」

Q)私の母のことで相談です。

 現在75歳の母は、自然と涙が流れてきて、お医者さんにみて貰ったところ、治らないと言われて、20年になります。何が原因なのでしょうか?良い対処法は、ないのでしょうか?

 お忙しいところ、申し訳ありませんが、素人にもよくわかる説明お願いします。

 

A) ご連絡有難うございます。

 涙についてですが、涙は涙腺(るいせん)というところで、常に作られています。涙腺は上瞼の耳側にあります。作られた涙は、常に分泌されていますが、悲しい時、風に当たった時などには、多く分泌されます。

 瞬きのときに、瞼の動きが車のフロントガラスのワイパーのように、涙を拭き取って、拭き取られた涙は目頭の方に集められます。目頭には上と下に小さい穴が開いています。上涙点と下涙点といいますが、この上下の穴から吸い込まれて、鼻の中へとつながっています。それで、大泣きした時などには、鼻水もグシュグシュになるわけです。

 涙が出る場合には、作られる涙が多い場合(水道に問題がある場合)と、流れ出ていく涙が少ない場合(下水に問題がある場合)の二つが考えられます。

 作られる涙が多い場合は、目の表面に問題がある時です。例えば、逆さ睫毛が目に当たっている、目に異物が入っているなどです。涙が出る場合の原因としては、流れ出ていく涙が少ないことが多くみられます。上下の涙点からそれぞれ涙小管、総涙小管、涙嚢、鼻涙管とつながって鼻の中へと導かれるのですが、鼻涙管閉塞、鼻涙管狭窄という状態が見られる場合があります。

 鼻涙管閉塞とは、読んで字のごとく、鼻涙管が完全に詰まっている場合、鼻涙管狭窄は、鼻涙管が完全に詰まってはいないけれど、狭くなっている場合です。特に女性の場合、加齢とともに解剖学的に鼻涙管狭窄の方向に変化すると言われています。普段は何ともないけれど、寒い外に出た時に、とか、風に当たった時に涙が出るというのは、作られる涙の量が多い時に、吸い込みが追いつかない鼻涙管狭窄の症状としてよく自覚される症状です。

 この鼻涙管の閉塞か狭窄かを診断するときに、鼻涙管に水を通してみる検査をします。鼻涙管通水検査といいますが、別名:涙道洗浄、涙嚢洗浄ともいいます。涙道洗浄、涙嚢洗浄は略して涙洗(るいせん)と呼ばれていますので、眼科に行ったら「るいせんが詰まっていると言われた」とおっしゃる患者さんがいます。「涙洗で詰まっていた」は正しいのですが、多くの患者さんは「涙腺が詰まっている」と誤解されていることが多いようです。

 この鼻涙管閉塞の治療ですが、完治させる方法は手術です。しかも、鼻の中の骨を削って行う、かなり大掛かりな手術になりますので、眼科医も耳鼻科医も、あまり積極的には勧めないというのが現状だと思います。

 完治ではなく、症状を改善する可能性がある方法としては、プロービングという治療があります。涙点から、鼻涙管まで針金のようなものを通して、狭くなったり詰まっている道を、再び通すという方法です。ただ通しただけでは、また詰まってしまうことが多いですので、シリコンチューブを通して、数カ月通したままにしておくという治療があります。麻酔をして行いますが、やはりチューブを通す時には痛みがあります。全ての眼科医が積極的に行っているという治療ではありませんが、一般的な治療ではあります。

 お母さんが、治らないと言われたのが20年前でしたら、シリコンチューブはまだ行われていなかったので、相談してみる価値はあると思います。どうぞ参考になさって下さい。


グラフ旭川3月号 「群発頭痛」

Q)はじめまして。22歳女性です。

 今回メールを送らせて頂いたのは、私ではなく、私の彼(23歳)の症状が普通ではないと感じたからです。

 彼は一日に一~二回ひどい頭痛がすると言うのですが、その場所がいつも決まって目のあたりだと言うのです。

 なんでも中学生の時、右目を殴られたせいで右の眼底骨がない(?)とのこと。手術する予定だったのですが、まだ若いので手術はせずに様子を見ようということで決まり、ただし右目を強く押せば目が陥没してしまうので注意するようにと言われたそうです。

 その事件の前も頭痛持ちで、事件後も度々頭痛はあったようですが、最近は特に頻度が増えて痛みも大きくなっていると言っています。以前は市販の頭痛薬(ロキソニン、リンクルアイビー)で治まっていたのに、それも効かないそうです。

 昨日は頭痛と同時に目が赤くなり、涙も出て、痛みも酷かったそうです。症状が悪化しているようでとても心配ですが、彼は医者には行かないと言っています。専門家の方の意見をぜひ聞かせて頂きたいです。宜しくお願いします。

 

A) ご連絡有難うございます。

 友人の頭痛とのことですが、お話からは群発頭痛ではないかと思われます。20代から30代の男性に多く見られるタイプの頭痛です。

 群発頭痛は目の奥がひどく痛くなるタイプの頭痛で、ある時期に痛みが頻回に生じます。また、頭痛が起きる時に目が赤くなり、涙が出るという症状を伴うことがあり、目がえぐられるように痛いと感じるほどの強い痛みが特徴です。

 おそらく眼窩底骨折とは、無関係ではないかと思います。

 群発頭痛の痛みを和らげるお薬もありますので、脳神経外科を受診することをお勧め致します。どうぞ参考になさって下さい。


グラフ旭川2月号 「高眼圧症」

Q)今野先生はじめまして。ホームページを拝見して今野先生にお聞きしたい事があり、メールをさせて頂きました。広島県在住です。

 私は8年くらい前から高眼圧症で定期的に眼科で検査を受けています。年齢は36歳です。8年前に市民病院検査で引っかかった時は、右23、左20でした。この8年の間に引越しなどで4軒眼科を変わっています。今の先生に診て頂いて3年くらいになります。今の先生は大学病院で手術などを担当されて、8年くらい前に開業された眼科専門医の先生です。診察のペースとしまして、2~3ヶ月に1回精密眼圧検査と精密眼底検査と細隙燈顕微鏡検査を受けています。視神経は非常に綺麗で全く問題ないと言われております。点眼薬なども全く使っておりません。昨日検査した眼圧の数値は右18、左19でした。3ヶ月前の数値は右18、左17でした。昨日は静的量的視野検査を行い、全く異常ありませんでした。このような状況の中で、次の5点についてお聞きしたいと思います。

1)今のかかりつけの先生は視野検査は2年に1回で十分だとおっしゃいますが、それで良いのでしょうか?

2)視野や視神経に異常がない場合、1年に1回の検査では少ないでしょうか?(個人的に3ヶ月に1回は多いような気がしております)

3)3年くらい前から眼圧が下降傾向にありますが、年齢と共に下がる事はあるのでしょうか?

4)今まで診て頂いた眼科は、市民病院1軒、開業医3軒ですが、大学病院でも念のために診て頂いたほうが良いでしょうか?

5)私は地方在住ですが、都市部と地方の病院では眼科のレベルも違うのでしょうか?

 大変お忙しい中とは思いますが、出来る限りでお答え頂けると幸いです。どうぞよろしくお願い致します。

 

A) ご連絡有難うございます。

高眼圧症とのことですが、診察をしている訳ではありませんので、あくまでも一般的な場合に関する私の意見ということで返答させていただきます。

1)今のかかりつけの先生は視野検査は2年に1回で十分だとおっしゃいますが、それで良いのでしょうか?

 最近の眼圧は正常範囲内であり、視神経乳頭所見に異常がないことから、判断されていると思われますので、36歳であれば2年に一度でよいのではないかと思います。

2)視野や視神経に異常がない場合、1年に1回の検査では少ないでしょうか?

 3ヵ月に一度の検診をお勧め致します。

3)3年くらい前から眼圧が下降傾向にありますが、年齢と共に下がる事はあるのでしょうか?

 そのような報告はないと思います。

4)今まで診て頂いた眼科は、市民病院1軒、開業医3軒ですが、大学病院でも念のために診て頂いたほうが良いでしょうか?

 私は必要ないと思いますが、ご本人次第だと思います。

5)私は地方在住ですが、都市部と地方の病院では眼科のレベルも違うのでしょうか?

 そのようなことはないと思っています。
どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川1月号 「間歇性外斜視」

Q)初めまして。どうぞよろしくお願い致します。

 31歳女性です。先日、眼科にて「間欠性外斜視」との診断がありました。目の状態は、裸眼両目0.05、矯正両目1.2、近視と乱視有り、複視なし。これまで眼の病気はなく、今は、眼精疲労があります。

 視能訓練士の方によると、私の場合、眼鏡・コンタクトの矯正が第一で、それだけでもだいぶ違うだろう、ということでした。それと視能訓練も始めていきますが、そうすることで「完治」することはないが、だいぶよくなるとおっしゃいました。

 医師からは、このまま進行し「恒常性外斜視」になることはない、そんなに気にしなくてよいとの説明を受けましたが、私としては不安が募るばかりです。

 視能訓練は勿論、受け努力もしますが、他に手段はないものか模索しています。

 先生に教えて頂きたいのですが、

1)間欠性外斜視はあっても、恒常性外斜視に一生進行しないこともあるのでしょうか?

2)斜視に、「鍼灸」が効果あると聞きますが、どうなのでしょうか?

3)完治する方法はないのか

 毎日、不安と恐怖で一杯です。どうかご返信をよろしくお願い致します。

 

A) ご連絡有難うございます。「間欠性外斜視」と診断されご心配とのことですね。

 「間欠性外斜視」の方は日常診療のなかでも多く見られますし、日本人には多いと考えられています。

 眼鏡での適正な矯正は眼位の保持に有効な場合が多いですから、眼鏡での矯正をまず行うことが重要ではないかと思います。

1)間欠性外斜視はあっても、恒常性外斜視に一生進行しないこともあるのでしょうか?

 間欠性外斜視の方が全て恒常性外斜視になるわけではないですので、この度診断され、先生からも気にしなくて良いとの説明をされているとのことですから、まずは様子をみられるのが、よいのではないかと考えます。

2)斜視に、「鍼灸」が効果あると聞きますが、どうなのでしょうか?

 私は鍼灸については、存じ上げませんので、その専門の方にお聞きになってください。

3)完治する方法はないのか

 間欠性外斜視の完治という意味では手術があると思います。現在の眼精疲労の症状が、眼鏡でも治まらなく、手術を勧められてから、主治医の先生と相談されるのがよろしいのではないかと思います。

 診断された時には,驚いてなかなか主治医の先生に質問できなかったかと思いますが、これから通院するうちに,色々と質問され,納得できることと思います。主治医の先生と良好な関係を保ち、安心されることを願います。どうぞ参考になさってください。