目ディカル相談室2016

20161126日 グラフ旭川12月号 
「20代の緑内障疑い」

 

20161026日 グラフ旭川11月号 
「レーザーイリドトミーの適否」

 

2016924日 グラフ旭川10月号 
「外傷後の瞳孔散大」

 

2016826日 グラフ旭川9月号 
「内斜視術後の眼鏡」

 

2016727日 グラフ旭川8月号 
「人間ドックの眼底写真」

 

2016627日 グラフ旭川7月号 
「ハードレンズ洗浄液が目に入った」

 

2016526日 グラフ旭川6月号 
「強度近視の白内障手術」

 

2016426日 グラフ旭川5月号 
「白内障手術と網膜裂孔手術」

 

2016326日 グラフ旭川4月号 
「白内障術前検査」

 

2016226日 グラフ旭川3月号 
「糖尿病の血管新生緑内障」

 

2016126日 グラフ旭川2月号 
「ブルーライト」

 

20151225日 グラフ旭川1月号 
「片眼白内障術後の度数」

グラフ旭川12月号 「20代の緑内障疑い」

Q)相談です。

 先日、眼科にコンタクトの処方してもらうために受診しました。視力検査などいくつか検査しました。

 医師の診察の際に眼球?を見ていただいた時に、少し緑内障のような感じがすると言われました。

 しかし、年齢が20代と言う点で生まれつきの可能性が高いので大丈夫だと言われました。そして、目薬なども処方されませんでした。

 生まれつきだと仮定した場合、何も治療しなくて良いということなのでしょうか?それとも、目薬をする程ではないという事で処方されなかったのでしょか?先生はどう思いますか?

 

A)ご連絡有難うございます。

 緑内障の診断は、眼圧検査、眼底検査による視神経乳頭の形状、

視野検査と合わせて行われます。 診察の際に「少し緑内障のような感じがする」というのは、眼底検査での視神経乳頭形状から判断したものと思われます。視神経乳頭形状から緑内障を疑った場合は、次の検査として視野検査が必要になると思います。

 今回の診察で、視野検査も異常がなかったということであれば、年齢が20代ということですから、定期的な経過観察ということで無治療で問題ないと思います。

 しかし、今回視野検査を受けていないのであれば、ぜひ、視野検査を受けることをお勧めします。通院している眼科の先生に視野検査をお願いしてください。

 緑内障は基本的には加齢に伴って増えてくる病気ですが、20代の方に緑内障がないとは言い切れません。まずは、今の状態をしっかりと検査することが大切ではないかと思います。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川11月号 「レーザーイリドトミーの適否」

Q)まず先生に、このようなメール相談窓口を作っていただけたことに感謝いたします。

【私は緑内障予防の手術を直ぐにすべきでしょうか。】

65歳 男性 オーストラリア在住。

 4ヵ月前よりPCの使い過ぎで酷く目が疲れるようになり、3ヵ月前に日本に短期滞在した折、眼科医に診ていただきました。その時に「あなたのような小さな眼は緑内障発作を起こすので白内障手術かレーザー手術をするように」と言われました。

 こちらの眼科医にも診てもらったら、検査の結果から緑内障も白内障も視神経の異常も無く健康な眼だと言われました。ただ、日本で「私の眼は緑内障発作を起こし易い眼と言われたが先生はどう思いますか」と聞いたら、それには答えず、発作を起こすかどうかは分からないと言い、眼圧は正常値内だけど上限にあるのでレーザー手術をしましょうと言われました。その場で了解できず一旦延期してもらいましたが、診察から6週後までにどうするか決めてくれと言われています。

 そこで私なりにネット情報で調べ、レーザーで虹彩に孔を開け眼圧を下げるものと分かりましたが、眼圧が下がってもかえって、手術前より眼が見えにくくなったり、数年後に角膜が白濁し角膜移植するしかなくなったりという恐ろしい副作用も有ることが分かりました。

 その場ですぐに了解しないで良かったと思いましたが、もし、発作が起きたらこちらの医療システムでは、短時間のうちに眼科医に処置をしてもらえる可能性は低い事は間違いない思いますので、大変迷うところです。

 何よりこの医師は私の眼は確かに緑内障発作を起こし易い眼だとは言っていませんし、確率を聞いても5%か100%か自分には分からないと言いました。こんなリスクのある手術を発作が起きるかどうかが分からないのに、やって後悔するような結果になるのが怖くて決断が出来ません。

 それでも事は失明するかもしれないので、急ぎレーザー手術をしてもらうべきでしょうか。それとも更なるセカンドオピニオンを他の医師に求めるべきでしょうか。是非、先生のアドバイスを頂きたく、よろしくお願い申しあげます。

 

A)ご連絡有難うございます。メール読ませていただきました。結論を先にお話させていただきますと、診察をしていない状態で、適切なお返事はできないと思います。レーザー治療を受けるべきか、待つべきか迷うことと思います。セカンドオピニオンとして、もう一人の医師の診察をお勧めします。

 日本で診察を受けた時の「小さな眼」という表現は、遠視のための眼軸が短いということだと思います。緑内障発作を起こす危険性の高い方は、遠視眼です。この先生の話からは、遠視眼で前房という部分が浅いのではないかと考えさせられます。

 しかし、オーストラリアの眼科では「健康な眼」と言われていることは、前房の深さも正常なのかと、判断しているのかと思いますが。「健康な眼」と診断していながら、レーザー治療を勧めている点が納得できません。

 オーストラリアでもう一人の医師に意見を聞いてみるべきと考えます。緑内障発作が起きてしまった時に、短時間で処置をしてもらえないのであれば、予防的にレーザー治療を受ける意義が高いと思います。しかしながら、上に書きましたように、その根拠がしっかりしていないようですので、もう一人の医師に診察を受けていただきたいと思います。

 診察をしていないメール相談には限界があることをご理解ください。スッキリしたお答えでなく、恐縮ですが、更なるセカンドオピニオンを求めるべきだと思います。どうぞ参考になさって下さい。


グラフ旭川10月号 「外傷後の瞳孔散大」

Q)はじめまして、よろしくお願い致します。

 中学生なのですが、強くうったバドミントンの羽根が目に直撃して瞳孔散大の状態となりました。

 これからの生活で気をつけるべき点はどのような事があるか、教えて頂けますか?

 

A)ご連絡有難うございます。「バドミントンの羽根が目に直撃して瞳孔散大の状態」とのこと、見えにくさが残っていなければよいのですが。

 目をぶつけたあとになって、眼圧が上がったり、逆に下がったりすることがあります。眼圧の上下はご自分では自覚できず、病状が進んでから、自覚することがあります。ですので、ご自分では何ともないと思っていても、定期的に眼科に通院してほしいと思います。

 瞳孔散大によって、まぶしさが強い場合は、虹彩付きコンタクトレンズを装用してもらうこともあります。これは、瞳孔の大きさによりますので、まぶしさが強く日常生活に不自由を感じる場合は、主治医の先生と相談なさって下さい。

 また、目をぶつけた後に他の病気が生じることもあります。代表的なものとして、上に書いた外傷性緑内障、外傷性低眼圧症がありますが、他にも外傷性白内障、外傷性網膜剥離なども挙げられます。これらも、定期的に通院することで、大事に至る前に治療することができると思います。

 飛蚊症といいまして、目の前に黒い物が飛んでいるような症状は、網膜剥離の前兆のことがありますので、飛蚊症が出た時は、すぐに眼科を受診してください。どうぞお大事になさってください。


グラフ旭川9月号 「内斜視術後の眼鏡」

Q)今、24歳になりますが、中学生の頃内斜視の手術を受けました。

 それから眼鏡はたまに目が寄りますが、あまりかけなくなりました。眼鏡をかけると見えすぎる位なので、かけたくなくなりました。

 斜視がたまに出るのに眼鏡をかけないのはいけないのでしょうか!? 前みたいに斜視が酷くなると嫌ですが、視力があれば多少内斜視があっても、眼鏡なしでもこれから大丈夫なのでしょうか?

 

A)ご連絡有難うございます。

 中学生の頃に内斜視の手術を受けたあとから、眼鏡をかけなくなったとのことですね。

 手術を受けたあとにも、眼鏡をかけないと内斜視が残るとのことですので、部分調節性内斜視ではないかと考えます。

 部分調節性内斜視では、遠視の眼鏡をかけても内斜視が残る場合に、その分の内斜視を手術で治し、元々の内斜視に対しては遠視の眼鏡をかけるという治療方針になります。

 ですので、手術のあとにも眼鏡をかけている必要があると思います。現在24歳とのことですので、手術をうけられてから10年近く経過しているものと思われます。その間に、成長とともに遠視度数の変化(通常は遠視の度数が軽くなっていく)が起きている可能性があります。

 まずは、現在の遠視の度数と内斜視の状態をしっかりと調べる必要があると思います。

 その上で、現在の眼鏡の度数を変更して装用するか、もしくは、眼鏡をかけなくても問題ないかを調べる必要があると思います。

 折角、内斜視の手術を受けていらっしゃるとのことですので、手術のアフターケアが大切ではないかと思います。お近くの眼科を受診することをお勧めします。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川8月号 「人間ドックの眼底写真」

Q)私の母(65歳)が人間ドックの健診の眼底検査で検査員に右目に対して「あー!何これ~わあー」とか「右目正常に見えてますか?異常はないですか?」などその場で言われ、それに対して母が「え?なんでしょう~白内障とか緑内障とかでしょうか?」と聞き返しても「そんなんじゃない!何だろー」ととてもびっくりした様子だったと言います。

 これだけの情報で眼科のお医者様は何を感じますか?もちろんわかる程度で良いのでお聞かせ願います。検査医が声に出して慌てるなんて患者としても動揺します。よろしくお願いします。

 

A)ご連絡有難うございます。

 65歳のお母様の人間ドックでのこととのことですが、このお話からだけでは、何とも判断がつきかねます。

 人間ドックの検診の眼底検査ですが、通常の人間ドックでは、眼底カメラで撮影をして、それを医師が判定するという形になっていると思われます。

 人間ドックで眼底カメラを撮影する方は、看護師もしくは検査技師の方ではないかと思います。その場で、人間ドックを受けにいらした方に不安感を抱かせることになってしまっていることは、非常に残念に思います。

 結果につきましては、人間ドックを行った病院の医師の判定の後、伝えられることになると思いますので、そこに再検査が必要とありましたら、眼科を受診していただきたいと思います。

 お母様は、見え方に異常はないということですね。眼底写真に見慣れないものが写って、検査の方が驚いたとのことでしたら、考えられることとしては、網膜有髄神経線維などの先天性の変化(心配のないもの)などが挙げられます。

 検査の時にそのような対応をされ、不安に感じていらっしゃると思いますので、不安解消のためには、眼科を受診していただくことかなと思います。眼科での検査は怖い検査ではありません。まぶしくなる目薬を入れて、精密眼底検査が必要になりますので、車を運転せずにお近くの眼科を受診していただきたいと思います。どうぞ、お母様に眼科受診をお勧め下さい。参考になさっていただけましたら幸いです。


グラフ旭川7月号 「ハードレンズ洗浄液が目に入った」

Q)お忙しいところ恐れ入ります。

 私は、円錐角膜があり、仕事上でも車の運転をしますので、現在どうしてもコンタクトが切り離せない形になるのですが、粉物の食品の加工、配達営業と担当しており、食品の加工場所でもコンタクトをしていたためかコンタクトに傷がつきやすく、これまでコンタクトの買い替え時期は相当早いものでした。数ヶ月前、車での配送時、買い替える予定にあったコンタクトの方の片目がどうしても痛くなってしまい、路肩に車を止め、その一方のコンタクトを外し、ハードコンタクト用の保存液(つけおきのもの)につけ、わずかばかり休息をとりました。しかし、コンタクトをすすぐ場所や手を洗浄する場所を確保できないままの状態となってしまい、恐る恐るハンカチで強く拭いただけの不衛生な手ですすがないコンタクトを多少は水分を振って切りながらもはめてしまいました。おそらく10秒ほどは強くしみる刺激に涙が溢れ、ダメだ外そう、と感じたその直後には落ち着いたのですが、15分ほどで職場には戻れたので、すぐにコンタクトは外し、目の状態を確認しました。

 幸い充血もなく、痛みもなく、その日はコンタクトはそのまませずに帰宅。その後も充血や痛みなく、このトラブルから一週間~二週間後に訪れた眼科の検診でも何も異常は確認されませんでした。(この内容は医師の先生には言いませんでした。)

 現在、コンタクトは午後にかけての車の運転時のみとし、装着前に食品の粉末が目に入っているものと想定し、水で目をよくすすいでしばらくしてから装着するなど、今回のトラブルでコンタクトのことを気持ちを変えて極力調べるようになったのですが、合わせてコンタクトの洗浄液のアルカリ活性剤の有毒性、薬剤外傷なども知りました。

 このトラブルで、角膜の上層部に関われず、内部へのダメージなど必ず何かしらあったかと思いますが、数週間前の検診においても異常は告げられずまた、一応眼底検査もその後受けてみたのですが問題箇所は言われておりません。ですが、トラブルを告げていない分、極めて深刻なダメージ(驚嘆なもの含めまして)が起きている心配はないのかなどうっすらと気がかりがあり、扱いに関しても後悔するところです。こういった点に関しまして、ご忠告やご見解など、もし今野先生から頂けましたら幸いです。

 

A)ご連絡有難うございます。円錐角膜でハードコンタクトレンズ使用中に、ハードレンズ保存液が目に入ったとのことですね。

 ハードレンズは、目が痛くなった時には角膜に傷がついてしまう心配がありますので、やはり一度はずして、レンズを水道水で洗ってから、再装着していただきたいと思います。もしも、お近くに水道がないときには、水道のある場所までは、気を付けて片目で移動していただきたいと思います。

 今回、ハードコンタクトレンズ用の保存液が目に入ったとのことですが、角膜に傷をつけてしまう危険性はあります。しかし、ご心配されているような内部へのダメージは考えにくいと思います。あくまでも角膜に傷がつく心配のみだと思います。その後の眼科診察で異常はなかったとのことですので、心配はないと思います。

 コンタクトレンズ装着前に「水で目をよくすすいでしばらくしてから装着」とのことですが、目を洗ってから装着する必要はないと思います。涙の成分など、目に必要なものも流されて、逆に角膜に傷がついてしまうこともあります。レンズをしっかり、水道水で洗って装着することで問題ないと思います。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川6月号 「強度近視の白内障手術」

Q)現在49歳です。

 19歳の時に初コンタクト目に合いませんでした。25歳くらいの時に2度目のコンタクトを買いデータを見るとR=BC9.40 P=-8.25 S=9.2 L=BC=8.45 P=-12.25 S=9.2が記録にあります。ですがほとんどコンタクトは痛くて、パカパカしている感じで目に合わず、あまりしませんでした。10年前にはレーシックを考えていましたが、乱視が強度のためかできませんでした。私の角膜は平らだとも言われました。その時の角膜厚616623です。3年ほど前に近視性脈絡血管?で目にアバスチンだか?注射しました。2年前の記録に、乱視が右c-6.25c-5.25だと。近視も右S-9.25S-14.0の記録がありました。 最近ここ1~2年でしょうか、とても見えにくいのです。今年2月に眼科受診し、白内障、網膜萎縮、眼球が大きくなっているとの事、カリーユニの処方です。

 白内障が原因で目が見えないのか?網膜萎縮なのか?眼球が大きくなっているのが原因なのか?わからない様子にみえました。もし手術しか方法がないのであれば、多焦点眼内レンズとかを考えてみましたが、乱視強度の人には合わないとあったりしますし、どうなんでしょうか?遠くも近くもの夢はしょせん無理ですか? 単焦点レンズなら利き目を1メートル~2メートル位に合わせ片側を30~50センチにあわせて遠くは(車の運転、映画鑑賞とか)眼鏡がいいともききますが? 遠くに合わせると近視に戻ろうとして網膜の萎縮がすすむとかあるとか聞いたのですが? 私に合うものはあるんでしょうか。昔から乱視です。矯正視力は右は0.7位、左は右目に合わせたかたちのレンズ で0.2か0.3くらいです。左目を視力上げようとすると度を上げると少しでますが具合が悪くなります。私の選択肢としてなにがいいのか?わかりません。よろしくお願いいたします。

 

A)ご連絡ありがとうございます。

 強度近視がもともとあり、乱視も強いとのことですね。3年前に(左右不明ですが)近視性脈絡膜新生血管(近視性黄斑変性)に対し、アバスチンの硝子体注射を受け、最近、白内障の手術を勧められているとのことですね。

 白内障の手術によって、近視の度数を選ぶことができますので、度数については、よく考えていただきたいと思います。乱視の度数が右-6.25、左-5.25ということですので、多焦点眼内レンズの適応にはならないのではないかと思います。

 強度近視の方の場合、今までの生活で近くは見えるという感覚があると思いますので、単焦点眼内レンズで近くにピントがあうように、軽い近視を残すことで術後の状態がうまくいくことが多いと思います。運転の時には、今までよりもずっと薄い近視の眼鏡を装用することになります。

 「遠くに合わせると近視に戻ろうとして網膜の萎縮がすすむ」という話は、私は聞いたことがありません。

 術後の度数についての、私の考えを伝えさせていただきました。現在の眼底の状態などもわかりませんので、あくまでも一般的なお答えとして参考の上、手術をする主治医の先生と、よくご相談なさってください。

 メール相談には限界があることを、ご理解下さい。どうぞお大事になさってください。


グラフ旭川5月号 「白内障手術と網膜裂孔手術」

Q)68才男性です。

 最近数ヵ月で急速に視力が低下したため、今日初めて眼科を受診しました。近代的な、おそらく最新の検査機器をそろえていると思える眼科専門病院です。様々な検査の後、白内障が進行しており直ぐに手しましょうと言われました。また、網膜の一番外側外周部に若干の欠損が認められるのでレーザー治療もしましょう、と言われました。その他では、加齢黄斑にも気を付けてルテインのサプリも飲みましょう、と言われました。保険の効かない高価な検査機器も使っていろいろな検査をしましたが、そのほかには悪いところはないそうです。

 取りあえず視力を回復したいので、今回は白内障の手術のみをお願いしたところ、網膜の治療(網膜光凝固術)を先にやらないと白内障の治療は難しいと言われています。年金収入のみの生活ですので、二つの手術を連続して行うのは経済的に困難です。お尋ね致します・・・先に白内障の手術をして、後で余裕のできた時に網膜の凝固術をするのでは問題があるのでしょうか?その他、健康診断でも特に体に異常はありません。

 どうぞよろしくお願いします。

 

A)ご連絡有難うございます。白内障の手術と、網膜裂孔の光凝固術を勧められたとのことですね。

 じつは、白内障手術をすることによって、網膜剥離の発生率が高くなることがわかっています。白内障手術によって、水晶体を摘出するのですが、それにともなう、目の後ろ側(硝子体といいいます)の変化も生じるためと考えられています。

 網膜剥離という病気は、目の神経の膜である網膜に穴があき(網膜裂孔といいます)、そこから網膜の下に水がまわることによって発生します。網膜剥離が起きる前には、網膜裂孔が発生することになります。網膜剥離になってしまいますと、放置しておきますと失明につながりますので、入院の上、手術が必要な目にとっては重大な病気です。

 今回、白内障手術の前に網膜裂孔の光凝固術を勧められたとのことですが、それは正しい判断だと思います。白内障の手術だけして様子を見ることは、網膜剥離の発生率を高めてしまうことになるからです。まずは、網膜裂孔に対して光凝固術を行って、その後に白内障手術を受けるのが良いと思います。

 同じ月に2つの手術を受けた場合に、高額医療の対象となり、お支払い金額に限度額がでてくることがありますので手術をうける病院で、相談してみてください。

 どうぞ参考になさってください。お大事にしてください。両方の手術を受けられて、完治することをお祈り申し上げます。


グラフ旭川4月号 「白内障術前検査」

Q)お尋ねします。

 左目強度の近視(0.05)、右目中心性脈絡網膜症です。

 白内障手術をするために、コンタクトをはずしてすぐに、光学的眼軸長 眼の長さを測るなどの検査をしました。日常はメガネで生活していて、外出するときのみ、コンタクトをしています。手術するまでコンタクトをすることがありません。単焦点眼内レンズを決めるのに、コンタクトをはずした時とメガネの時との誤差が出ないのでしょうか?手術後の見え方に影響しないか教えてください。

 また強度の近視なので、少し近視を残して1mにピントを合わせて-1、視力0.4に設定すると言われました。どういう見え方になりますか?よろしくお願いします。

 

A)ご連絡有難うございます。

 白内障手術の際に入れる眼内レンズの度数は、眼軸長と角膜曲率半径から計算されます。コンタクトレンズをしていたことによる眼軸長の誤差は大きいものではないと思いますが、角膜曲率半径に影響が出ることがあります。

 ハードレンズかソフトレンズか、コンタクトレンズのフィッティング状態、またコンタクトレンズをつけていた時間などに影響され、数字に変化が生じる可能性は否定できません。

 手術を担当する先生と相談し、コンタクトレンズを1週間はしていない状態で、もう一度、検査をうけることをお勧めします。

 少し近視を残して1メートルにピントを合わせるという狙いは、近視の方ですることが多いですが、元々の度数、年齢、お仕事などを勘案して決定するものですので、これも主治医の先生とお話をして、納得してから手術を受けることをお勧め致します。

 メール相談では、実際に診察をしておりませんので、お答えに限界があることをご了承ください。手術の前に、主治医の先生とよく相談することをお勧め致します。どうぞ参考になさってください。


グラフ旭川3月号 「糖尿病の血管新生緑内障」

Q60歳男性です。

 5年前、糖尿病増殖性網膜症で両眼ともレーザー凝固を受けました。

 その後、右眼だけ何度か出血を繰り返しため、3ヵ月前に硝子体手術と白内障手術を同時にしました。しかし、2か月たって血管新生緑内障になり、トラベクレクトミーにて現在は眼圧10前後、視力0.7と安定しております。ブレブ形成も良好で2種類の抗炎症点眼を続けております。緑内障発症時、右眼圧は35でした。アバスチン投与後、4種類の降圧点眼薬をつけましたが、21までしか下がらず手術に至りました。

 ところが初回の手術頃から両眼とも視界が暗くなり霧視がひどく難儀しています。左眼は白内障があるものの、まだ手術はしなくて良いとのことです。左の視力は0.3、眼圧10です。他に特に暗い所が極端に見づらい症状も日増しに強くなってきております。このような症状の原因と改善手段をお伺いいたします。よろしくアドバイスお願いいたします。

 

A)ご連絡有難うございます。両眼の増殖糖尿病網膜症に対して、レーザー治療を行い、その後右眼に硝子体手術と白内障手術を受け、血管新生緑内障を発症し、アバスチン投与、緑内障点眼治療後に、トラベクレクトミーを施行されているとのことですね。

 両眼とも視界が暗くなり、霧視がひどいとのことですが、原因として考えられることとしましては、右眼緑内障による視野狭窄、糖尿病黄斑浮腫による視力低下、左眼白内障による視力低下、糖尿病角膜症による視力低下、レーザー治療による視界の暗さなどが挙げられます。

 しかしこれらは、あくまでも可能性として考えられることで、実際に診察をしている主治医の先生とよく相談することが大切ではないかと思います。

 ご本人が見えにくくなったと感じていても、視力検査の結果は悪化していないこともありますし、逆に、ご本人が自覚していなくても、網膜症が悪化していることもあり得ます。主治医の先生のご説明を充分に聞いていただきたいと思います。

 メール相談には、限界があることをご理解ください。どうぞお大事になさってください。


グラフ旭川2月号 「ブルーライト」

Q)はじめまして。年齢は45歳です。アメリカ在住のため住所・電話番号は記しておりません。日本語で相談できる眼科を探しておりまして、こんの優眼科クリニックのホームページに辿り着きました。どうぞ宜しくお願い致します。

 相談は子ども(5歳)のことです。皮膚科で間違ってブルーライト治療をさせてしまいました。時間は15分間。ブルーライトを当てたのは両足と両腕です。

 小さい為、私が同席することになり、2人共にブルーライトを遮断する黄色いメガネを渡されました。お医者様とナースの見解によりますと、ブルーライト治療は副作用がないとのことでした。しかし、家に帰って調べましたところ、ブルーライトはメガネをつけても40~50%しか光を遮断せず、目の網膜まで達する強い光であり、子どもは水晶体が綺麗なため、光を通しやすいと知りました。

 心配しておりますのは、娘の網膜、黄斑部に何等かのダメージを与えていないか?今は大丈夫でも、年齢とともに症状がでてきたりしないか?ということです。とても心配しております。もし、宜しければご回答のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

A)ご連絡有難うございます。皮膚科でブルーライト治療を受けたことが心配とのことですね。

 ブルーライトが網膜に影響を及ぼすと考えられるようになったのは、ブルーライトが身近なものになった最近のことです。ブルーライトが網膜に問題を起こすと考えられるのは、長時間、長期間にわたってブルーライトにさらされる場合だと思われます。調べてみましたところ、短時間のブルーライト照射による網膜障害は、報告されていないようです。

 今回のブルーライト治療は15分間、ブルーライトを当てたのは両足と両腕、ブルーライトを遮断する黄色いメガネをかけていらしたとのことですので、全く心配はないと思います。

 ご心配でしょうから、一度、現在の目の状態を検査してもらうと、さらに安心できるのではないかと思います。今回のブルーライト治療が、後になって障害を起こすことは考えにくいと思いますので、現時点での検査を受けられて、安心するのがよろしいかと思います。どうぞご参考になさってください。


グラフ旭川1月号 「片眼白内障術後の度数」

Q)63才の女性です。半年前に左目の白内障手術を受けました。

 近視で普段は眼鏡をかけています。裸眼で家の中の生活ができることが希望だったのでそのことは先生にも話していましたが、右目はさほど進行していないということとリスクのことを強く言われ左目だけの手術にしました。

 手術後、明るくはなりましたが視力は落ちました。先生は片目だけの場合は手術しないほうの目にあわせなくてはいけないし、また今回は眼内レンズの度数が充分出なかったと言われました。

 先日検診で後発白内障の症状があると言われ手術を勧められました。また右目も白内障が進んでいるようです。両目を一緒にやらなかったことの後悔と、今の結果に納得がいかないまま後発白内障の手術を受けることに気持ちの整理がつきません。ちなみにここには眼科がひとつしかありません。もう左目の視力(レンズに関して)が回復して眼鏡なしで生活することはできないのでしょうか?よろしくお願いします。

 

A)ご連絡有難うございます。

 半年前に左眼のみの白内障手術を受け、術後の度数は手術をしていない右眼の近視に合わせたとのことですね。

 手術の前に執刀医の先生ともご相談されたこととは思いますが、片方の目だけの手術の場合は、手術していない方の度数に合わせないと、手術後、不同視という状態が生じて、問題になってしまうことがあります。左右の度数に差がありすぎますと、くらくらする、見えにくい、両方の目で物をしっかり見ることができない、具合が悪くなるなどの症状が出てしまうことがあります。それを予防するためには、手術をしていない目の度数に合わせる必要があります。

 元々の近視の度数がどれ位であったかが、分かりませんので断定的なことは申せませんが、近視の強いかたに、「裸眼で家の中が生活できる」くらいの度数にしてしまうと、近視のかたは近くが見えることに慣れているために、あまり芳しくないという結果になることもあります。そのようなことを勘案されて、術後の度数を選択したのではないかと想像します。

 後発白内障の手術に関しましては、通常の白内障手術のように手術場で行うものではなく、外来でレーザー光線による治療になります。この治療は時間もあまりかかりませんし、合併症もあまり生じない安全な治療です。後発白内障で、手術後の見え方よりも悪くなっていることが自覚されるのであれば、後発白内障レーザー治療は、受けた方がよろしいのではないかと思います。

 あくまでも、診察をしていない上での一般的な回答として参考にしていただき、一番大切なことは、主治医の先生と、よくお話をされて、十分納得されてから判断することではないかと思います。

 メール相談では、お答えに限界があることをご了承下さい。どうぞお大事になさってください。